五島・魚津ケ崎一帯 自然体験、歴史散策 楽しもう

五島自然塾が作成した観光マップとガイドブック

 五島市岐宿町の魚津ケ崎(ぎょうがさき)一帯を活性化しようと、市民グループ「五島自然塾」(永冶克行代表)が、自然体験や歴史散策を楽しめる仕組みづくりに力を入れている。レンタル自転車や伝馬船を用意し、観光マップやガイドブックも新たに作成。貴重な動植物や地形、遣唐使ゆかりの史跡などを学びながら周遊することで、地域の魅力を再発見してもらう狙いだ。
 魚津ケ崎周辺は季節の花々や美しい夕焼けが楽しめる景勝地で、一部は西海国立公園に指定。近くには希少な海岸植物が自生する八朔鼻(はっさくばな)や、五島列島の成り立ちを示す地層、遣唐使船の修理や風待ちをした港など、豊富な地域資源がある。一方で魅力を伝える体制は整っておらず、じっくりと観光する人は少なかった。
 そこで五島自然塾のメンバーは昨夏から、周辺の海岸の漂着ごみ回収を手始めに、一帯の再整備に着手。魚津ケ崎公園に空き家を所有していた陣内美香子さん(55)=長崎市在住=にも協力を求め、休憩所やレンタル自転車などの貸し出し場所として活用する。
 陣内さんは地元の女性グループと共同で地域の特産品を販売したりワークショップを開催したりすることも構想しており、「いずれはカフェとして飲み物も提供し、地域の人が集まる場になれば」と話す。
 永冶代表は魚津ケ崎公園を起点に、「フラワーロード」と名付けた全長約12キロの観光ルートを設定。標識も設置し、観光マップを手にサイクリングやウオーキングで名所を巡れるようにした。地域の自然や地質、歴史などをまとめたガイドブックの作成には、地元の専門家らの協力も得た。5月ごろには自転車や伝馬船などを貸し出す体制も整う見込み。市内のガイド団体とも連携し、地域の魅力を観光客らに伝えていく。
 一帯には、五島市が日本ジオパーク認定を目指す豊かな自然環境や貴重な地質などのジオサイト(見どころ)候補地も多い。永冶さんは「今まで魚津ケ崎はトイレ休憩などで立ち寄られるだけだった。近くには民宿もあるので、今回の取り組みによってゆっくりと滞在してもらえる場所になれば」と期待する。

体験事業に活用するレンタル自転車や伝馬船について、地元観光ガイドに紹介する永冶さん(左から4人目)=五島市岐宿町

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