シーア『ミュージック』話題の初監督映画、シーアはポップスで人生を語ります

 1975年生まれ、オーストラリアはアデレード出身のシンガー・ソングライター、3年ぶりの新作は、自らが初監督を務めた映画『ミュージック』で使われたサウンドトラックとインスパイアード・ソングで構成された作品。映画は自閉症で言葉が話せないミュージックという少女とその介護者が織りなす愛と苦悩と癒しの物語ですが、うつ病とアルコール依存症を克服したシーア自身の経験が反映された作品ともいえます。

 彼女らしいポップ・センスがあふれた楽曲で展開されて行きますが歌詞には悲しみや絶望に打ち勝つ強い心がメッセージされています。ミュージックを演ずるのはシーアの分身ともいえるバレリーナのマディー・ジーグラー。10年にソングライターの道を選びそれ以来素顔を見せなくなったシーアですが14年のヒット曲「シャンデリア」での映像表現のために自身の代わりに起用したのが当時11歳のマディー、以降彼女はもう一人のシーアとして多くの映像作品にコラボ、まさに二人シーアというユニークなアートを創っています。

(ワーナーミュージック・2000円+税)=北澤孝

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