ようやく離礁! スエズ運河の危機救ったスーパームーンの「大引力」

座礁していたエバーギブン(ロイター)

天文現象も一役買っていた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は30日、エジプト・スエズ運河のコンテナ船が離礁に成功した背景には、地球と月の距離が近づき大きな満月になる「スーパームーン」があったと伝えた。

同運河で23日に座礁したのは、22万トンを超え、全長約400メートルの「エバーギブン」(愛媛県今治市の正栄汽船所有)。離礁にあたり、28日から始まったスーパームーンの引力で潮位が通常の満潮より最大約45センチ高くなることが見込まれ、関係者は最大のチャンスと期待した。スーパームーンの数日を逃せば、その後の離礁作業は大きな困難に見舞われていたはずだという。

関係者は座礁船はタグボートのけん引のみでは離礁できないと判断し、スーパームーンによる潮位上昇を想定した土砂のしゅんせつ作業を進めていた。離礁に成功した29日は、潮位が最大に近づき始めた日だった。また、エジプトの地元紙は、強風が離礁に寄与したと伝えている。

スーパームーンは年に数回見られる現象で、今回は今年最初だった。国立天文台のウェブサイトによると、この言葉は天文学の正式な用語ではなく、定義もはっきりしていないという。2016年の記録では、最大の満月は最小の満月と比べて直径で約14%、面積で約30%大きかった。

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