ドコモら、鉄道インフラのリアルタイム遠隔・自動監視システムを構築

中央復建コンサルタンツは、NTTドコモ、京急電鉄、横浜市と共に、5GとAIを活用し、鉄道インフラをリアルタイムに遠隔から自動監視する実証試験に成功した。26日のプレスリリースで発表している。

今回の実証は、総務省事業「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証に係るインフラ分野におけるローカル5G等の技術的条件及び利活用に関する調査検討の請負」における「遠隔・リアルタイムでの列車検査、線路巡視等の実現」を、4社がコンソーシアムを組んで実施した。

具体的な流れは、4K映像を5Gで伝送し、網内クラウド環境(MEC)で高速AIディープラーニングにより解析し、解析結果を遠隔地にリアルタイム配信するというものだ。通常時の車両監視と災害時を想定した線路点検を対象とし、2020年12月~2021年2月に京急電鉄の久里浜工場で実施した。

車両監視の解析では、固定4Kカメラとサーマルカメラで車両の床下機器を撮影し、台車の疑似的な亀裂やブレーキパッドの摩耗、機器収容箱ハンドルの開き、車軸温度の上昇を検出した。映像の取得から遠隔地への配信を0.94秒で実現し、AI解析では幅1mmの疑似的な亀裂の検出にも成功している。4K映像を5G伝送し、MECでAI解析後、遠隔地にリアルタイム配信するのは国内初の技術だ。

一方、線路点検の解析では、ドローン上の4Kカメラで線路を撮影し、飛来物などを想定した大きさ・形状の異なる障害物を検知をした。解析では、10cm角の木片から身長170cmの人まで、試行ごとに対象の異常を見逃すことなく検出することに成功し、各解析結果は1.26~1.33秒で遠隔PCにリアルタイム配信している。5G端末の上空利用構成を用いた、リアルタイムでの4K映像のMEC高速AI解析・配信も、国内初の技術だ。

なお、中央復建コンサルタンツとドコモは今後、5Gと高速AIディープラーニング、4K映像配信、ドローンなどを活用して、本格運用の検討を行うという。鉄道事業における課題解決には京急電鉄と連携して検討を行い、他の社会インフラにおける課題解決には横須賀市と連携して取り組むほか、他の事業者への水平展開を推進すると述べている。

(出典:中央復建コンサルタンツ Webサイト、およびドコモ Webサイトより)

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