RACOFFEE(ラコーヒー) 〜 独創的な空間で味わうこだわりのコーヒー

美観地区からは少し離れた位置にあるカフェ「RACOFFEE(ラコーヒー)」。

通りを歩いていると、店舗が持つ独特な雰囲気を感じて目を向けてしまいます。

歩道に面した位置にあるカウンターと、となりにある大きなガラス戸が印象的です。

倉敷にある独創的なカフェ「RACOFFEE」のオーナーの三村直也(みむら なおや)さんに、店舗やコーヒーへのこだわりについて話を聞きました。

「RACOFFEE」の魅力

「RACOFFEE」の見どころ

「RACOFFEE」の前を通り過ぎるときに目が留まるのは、大きなガラス戸です。

鉄の枠に はめられたガラスから店内のようすを覗(のぞ)くと、落ち着いた空間が広がっているのが見てとれます。

ガラス戸に向かって左側にあるのは、コーヒーを注文するためのカウンター。

カウンターの中でコーヒーを入れてくれます。

ガラス戸から店内に足を踏み入れて最初に意識が向くのは、正面と左右に存在する土壁です。

次に視線が向くものは、3面を土壁で囲まれた空間に整列した木製のテーブルと不揃いなイス。

店内には、入口から正面の土壁に向かって明暗のグラデーションができており、独創的な雰囲気が生まれています。

席に座り気がつくものは、店内を仕切るように存在する直線です。

天井から長く伸びるランプのケーブル、ガラス戸の鉄製の格子(こうし)、土壁に埋め込まれた柱。

落ち着いた空間の中に整然と並んでいる垂直な線を目でなぞってしまいます。

ガラス戸の向こうに見える景色も印象的です。

店内の落ち着いた雰囲気とは対照的に、多くの人や車が行き交う大通り。

大きなガラス戸を通して外の にぎやかな景色を眺めていると、周りの世界から離されて店内の時間が止まっているような錯覚を抱きます。

オーナー手製の店舗

店舗は築50年の建物をオーナーの三村さんが改装したそうです。

趣のある土壁は元々あったものを活かしています。

正面の大きなガラス戸は三村さんが鉄を溶接し、古いガラスを切ってはめこんだとのこと。

カウンターについている跳ね上げ窓も手製。

天井に設置されたシーリングファンは、1960年代に製造されたものを探してきて取りつけたそうです。

自分の手でものを作ることが好きだという三村さんは、店舗で見かけるほぼすべてのものを手掛けています。

「RACOFFEE」のメニュー

「RACOFFEE」では、産地の異なるコーヒーを用意しています。

コーヒーに詳しい人でない限りは、産地による味の違いを知らないので戸惑うかもしれません。

注文するときにスタッフが香りや味の特徴について説明してくれるので安心してください。

説明を聞いて気になったコーヒーを選びましょう。

飲み比べるとわかりますが、確かに産地によって香りや味の違いがあります。

コーヒー豆の産地の違いを堪能できるのも「RACOFFEE」の魅力です。

嗅覚と味覚を研ぎ澄ませて、入れたてのコーヒーを楽しみましょう。

「RACOFFEE」で提供されるコーヒーはすべて「深煎り」とのこと。

酸味がなく、際立った苦味と香りが特徴です。

注文したコーヒーは、店内で飲むことも、テイクアウトすることも可能。

コーヒー豆の挽き売りも1袋150グラム、1,150円から行なっています。

コーヒーへのこだわり

世界中のコーヒー農園を訪ねる旅

三村さんは、毎年2月にコーヒー農園を訪ねる旅に出かけています。

これまでに訪れた国は、コーヒーベルトと呼ばれる赤道付近の熱帯気候に属する国。

コーヒー豆の栽培が盛んな地域です。

説明を聞いて気になったコーヒーを選びましょう。

現地での移動は自転車。

長いときには1,200キロメートル以上もの距離を旅します。

また、コーヒー農園は標高1,800メートル程の高地にあることが多く、平坦な道ばかりではありません。

谷を通り抜け、山脈を越える途方もない距離を自転車で進んだのちに、真っ黒に日焼けした姿でコーヒー農園にたどり着きます。

コーヒー豆がどのような環境で、どのような人によって育てられたのかを、旅を通じて体験しているのです。

コーヒーの価値とは?

三村さんはコーヒーの焙煎方法、入れかたへのこだわりなど、技術的なことは言わないようにしているそうです。

どんなにコーヒーの入れかたにこだわったとしても、コーヒー豆を育てた人が一番苦労しています。

目の前にあるコーヒーの起源を、実体験を通して知り、語れることにこそ価値があると話してくれました。

自転車で世界中のコーヒー農園を旅する人は、三村さん以外にいないでしょう。

世界で唯一のこだわりかただと教えてくれました。

グァテマラにあるフエゴ山の雄大な姿、エチオピアの渓谷で迎えた朝の深い霧、コーヒー農園に到着したときに農家の人が驚くようすなど、心に残った景色を三村さんは聞かせてくれます。

三村さんの心の中にある風景を聞きながら味わうコーヒーは、深みが増したような気がしました。

「RACOFFEE」でコーヒーを飲んでみて

独創的な雰囲気に引き寄せられて訪れたカフェ「RACOFEE」。

三村さんが話してくれた空間やコーヒーへのこだわりを思い返すと、「RACOFFEE」に心を惹きつけられた理由が見えてきます。

自分で行なった改装、店舗のレイアウト、世界中のコーヒー農園への旅。

三村さんの想いによって魅力が溢れ出ているのでしょう。

世界で唯一の空間とコーヒーを堪能できるカフェが倉敷の街の外れにありました。

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