コロナ禍で人気企業ランキングが変化 トップ10位に7社、理系学生が惹かれる業界とは?

コロナ禍により、大学生の就職活動は大きく変化しました。説明会、面接がオンラインに転じられるなど、学生・企業双方ともに手探りで行わざるを得ないのが現状です。

新卒採用サイト「あさがくナビ(朝日学情ナビ)」は、コロナ禍における就職活動についての学生アンケートの結果を発表しました。今の学生が抱える就職活動の苦労が見えるとともに、一般社会人にとっても、「これからの仕事」ではどんなことが重要視されるのかが感じられる結果でした。


2022年卒・文理別の人気企業ランキング

まず、この春から本格的な就職活動を行う2022年卒の学生では、どんな企業が人気なのかを見ていきましょう。

文理ともに、誰もが知っている大手企業がズラリと名を連ねています。
特筆すべきは理系のトップ50に「食品メーカー」が16社、さらに「IT・ソフトウェアメーカー」が7社もランクインしたこと。特に「食品メーカー」はトップ10のうち7社が占めており、コロナ禍でも消費者からの強い支持があったことで、学生にとって魅力的に映っているように感じられました。

文系では、「商社」の伊藤忠が前年に続きトップに。前年度では10位以下だった講談社、集英社といった「マスコミ」がトップ5に食い込んでいます。さらに、前年度では46位だった「スーパー・流通・百貨店」のイオンが6位に、同じく前年度では56位だった「アパレル・専門店」のニトリが26位に人気を上げています。

トップの伊藤忠は安定した人気があることは言わずもがなですが、以下の動向を見ると、インドアでも楽しめる商材を展開する「マスコミ」や「おうち時間」を支える企業の人気が上昇している点は、やはり昨年から今年にかけてのコロナ禍の影響が反映されているようです。

就職を目指し努力していた企業の選考自体が中止に…

また、この春卒業(修了)予定の学生に対して行ったコロナ禍での就職活動の実態についても見ていきましょう。

「コロナ禍の就職活動で苦労したこと」では、「説明会・選考が延期・中止になった」が最も多く65.6%という結果となりました。すでに数多くのメディアでも報道されている現実ですが、データで可視化すると、改めてコロナ禍の就職活動の厳しさを感じられます。

次いで「Web説明会・Web面接では企業の雰囲気が分かりにくかった(42.2%)」「説明会・選考がWebに変更になった(34.0%)」「企業に訪問する機会がなく不安だった(31.6%)」など、いずれも学生が翻弄されたことが伝わる回答が続きました。その具体的な声を見ると、さらに苦しい状況だったことがわかります。

○インターンシップの期間から企業研究をしていた企業の選考が中止になったのは、ショックだった。
○採用活動の中止で、選考を受けることができない企業もあった。新たに志望業界を探すのに苦労した。
○内定者の顔合わせもオンラインのみで、同期と一度も会ったことがない。

学生から対応を評価された企業も

その企業への就職を夢見て努力していた学生にとって、「選考が中止」といったケースの落胆は大きいものでしょう。一方で、企業の中には学生に寄り添う試みを実施したケースも少なくなかったようです。

○WebセミナーやWeb面接でも、企業のことが分かるように、採用担当の方が情報発信をしてくれた。

Web面接のみで入社を決めた学生が29.3%!

次に、コロナ禍の就職活動にも関わらず内定をもらい、この春より入社する人に対して行った「入社を予定している企業の、選考形式」を見てみましょう。

「リアル訪問(38.3%)」「Web面接と、リアル訪問の両方(32.4%)」が7割以上を占める一方、「Web面接」だけで入社を決めた学生は29.3%にも上っています。リモートワークが浸透した結果と言えますが、オンラインを介しての決断を行った分、就職後には、学生・企業双方ともに念入りな疎通を行う必要があるようにも感じました。

制限ある就職活動でも前向きさを忘れない学生たち

ここまでご紹介した通り、コロナ禍での就職活動は、学生にとってかなりの苦労を強いられており、企業側ももどかしい思いをしているようにも思います。しかし、このアンケートで紹介されたもののうち、頼もしく感じたのが「2021年卒学生(現4年生)から、2022年卒学生(現3年生)へ向けたアドバイス」でした。

○コロナ禍では、Web面接が多くなると思います。Web面接では企業の雰囲気をつかみにくいですが、1日に複数の企業の面接を受けることができるといったメリットもあります。
○自分のペースで頑張ってください。自分のペースを保つためにも、キャリアセンターの職員や、先輩などたくさんの人に相談に乗ってもらうのも良いと思います。
○コロナ禍で多くの不安があると思いますが、リラックスして就職活動に望んでください。ひとつ言えるのは、努力は裏切りません。

コロナ禍という未曾有の事態の中を生きているのは、一般社会人だけでなく学生も同じです。自分たちより若い世代が上記のように「今」を前向きに転じ、取り組む様子を見るに、泣き言ばかりを言っていられないとも痛感しました。

出典
●「2022年卒学生対象『就職人気企業ランキング』」アンケート
【調査対象】2022年3月卒業予定の全国大学3年生、大学院1年生
【調査方法】(1)あさがくナビ登録学生へE-MAILにて告知。Web上の入力フォームによる回収。(2)弊社主催のイベント来場学生へのWeb入力フォームによるアンケート調査及び回収。
【調査期間】2020年6月1日~2020年12月6日
【回答方法】選択式(最大5社)
【有効回答数】7,675名

●「就職活動の振り返り」アンケート
【調査対象】「あさがくナビ2021」会員
【調査方法】Web上でのアンケート(メールでのアンケート回答依頼)
【調査期間】2021年1月22日~1月31日
【有効回答数】256名

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