巨人のFA右腕・井納の「デビュー戦KO→即二軍行き」に同情の声なし

降板を告げられ悔しがる井納

DeNAから巨人に加入した井納翔一投手(34)が散々の〝デビュー〟戦だ。3月31日の中日戦(バンテリン)に先発した井納は1回0/3、31球5安打4失点で自己最短KO。チームも3―5で今季初黒星を喫した。試合後、二軍行きが告げられたFA右腕に対し、チーム内から同情の声は上がらなかった。

まさかの光景だった。初回に4連打を浴び、援護してもらった3点の貯金をあっという間にフイにすると、2回にも先頭・木下拓に左中間ファンス直撃の二塁打を浴びた。桑田投手チーフコーチ補佐がマウンドに向かい一息入れるのかと思いきや、原監督は2番手・高木への交代を告げた。その高木も踏ん張れず、巨人は3―5で今季初黒星を喫した。

巨人としては、1995年の川口和久の2回0/3KOを悪い意味でしのぐ、FA加入投手の初登板初先発ワースト記録。試合後、原監督は「ちょっと調整不足かな。いろんな意味でね」と3月中旬に負った頭部裂傷の影響に言及した。交代については「早いタイミングっていうのかな。何て言うのかよく分からないけどね、あれだけポンポンポンポン(打たれる)というのはね」と振り返った。

井納は「先発の役割を果たせず、申し訳ない気持ちでいっぱいです。(チームの)いいリズムを壊してしまい、自分の投球ができなかったことが悔しいです」と肩を落とした。試合後、二軍再調整が決定。代役はこの日、イースタン・DeNA戦(平塚)で15奪三振をマークし完封勝利した畠が濃厚となった。

FA宣言後、移籍先をヤクルトと巨人とで悩んでいた井納は原監督からの〝直電〟で巨人入りを決断。昨年12月の入団会見では指揮官から「150イニング投げてほしい」と熱望された。

そんな指揮官の期待を背負ってはいたものの、実はすでに〝イエローカード〟が出されていた。ジャイアンツ球場入り口の鉄柵で頭を強打したことによる〝頭部裂傷事件〟がそれ。「スキップしていた」との目撃談もあり、自らの不注意で内定していた開幕DeNA戦3戦目(3月28日)がこの日の中日戦へと変更され、他の先発陣にも迷惑をかけた。

当初、井納の負傷について説明した原監督は「恥ずかしくて(詳細を)言えなかったよ」とあきれ顔だった。さらに負傷後、井納と話したかについては「(電話は)してない。話す価値はないね」と笑いながらも、バッサリと切り捨てていた。

原監督の素早い〝決断〟には球団内からも賛同の声が上がった。「井納はあれだけ真ん中に投げていたら言いわけできない。すべては試合に勝つためにやっている。FA選手だろうとダメだったら交代だし、二軍で再調整するのは当たり前」(球団関係者)。

一方、営業サイドの失望は大きい。井納の活躍を見越して3月25日に「宇宙人グッズ」第1弾のキャップ販売を開始。それが本拠地登板を待たずに二軍降格となったからだ。

もちろん2年総額2億円(推定)で入団した井納としては、このままでは終われない。失った信頼を回復するため、二軍から再びはい上がれるか。

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