「東日本大震災」関連倒産(3月度速報値)

 2021年3月の「東日本大震災」関連倒産は、2020年5月以来、10カ月ぶりに発生しなかった。月次倒産が発生しなかったのは、震災が発生した2011年3月以降の10年間で2回目。コロナ禍対策としての、公的助成金や金融機関の弾力的な融資支援に支えられ、倒産発生が抑えられた可能性もある。
 3月11日に震災発生から10年を迎えた。2020年度(4-3月)の震災関連倒産は27件(前年度42件)で、10年連続で前年度を下回り、収束傾向をみせる。しかし、2020年5月と2021年3月を除いて119カ月にわたって震災関連倒産は発生しており、震災発生から丸10年を経てもなお、爪痕の深さを改めて浮き彫りにしている。震災当月の2011年3月以来、震災関連倒産の累計件数は1,979件(3月31日現在)に達した。
 政府は2020年6月、復興庁の設置期限を2020年度から30年度まで10年間延長する法改正を実施した。東北の被災地は震災復興への道半ばで、完全な復興を手にするまで、被災地の住人、地域、そして企業に寄り添った支援が求められる。
 また、震災による直接または間接的な経営ダメージを克服し、立て直しを図ってきた企業に、2020年はコロナ禍が直撃し、事業継続を断念するケースも散発した。資金繰りを下支えした支援の副作用が、開始から1年を経過して過剰債務を招いている。政府は金融機関に返済猶予への弾力的な対応を要請しているが、業績改善の遅れから資金繰り維持が難しい“息切れ倒産”の増加が懸念されている。被災地域の企業に及ぼす影響も注意が必要だ。

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 累計件数1,979件のうち、都道府県別で最も多かったのは東京の576件。次いで、宮城199件、福島88件、岩手86件、北海道85件、神奈川80件、茨城79件、千葉77件、福岡71件、栃木63件、群馬61件、静岡51件、大阪49件、山形48件、埼玉47件と続く。東北6県の倒産件数は478件(構成比24.1%)だった。
 産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の527件(構成比26.6%)。次いで、製造業460件(同23.2%)、卸売業363件(同18.3%)、建設業225件(同11.3%)、小売業187件(同9.4%)、運輸業82件、情報通信業66件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1,739件(構成比87.8%)に対して、「直接型」が240件(同12.1%)だった。

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