【ミャンマー】民主派が現行憲法廃止を宣言[社会]

軍との対立、より先鋭化へ

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タイヤなどでつくったバリケードが燃えているヤンゴンの市街地=3月31日(NNA)

ミャンマーの民主政治推進派が設立した「ミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH)」は1日までに、国軍に有利な現行憲法の廃止と、これに代わる「連邦民主憲章」の採択を宣言した。全権掌握を否定された国軍が怒りを募らせ、対立や混乱がより深まる懸念がある。1日未明には、最大都市ヤンゴンにある国軍系企業の商業施設が不審火で全焼。戒厳令下の地域でも、軍側の市民弾圧が依然として続く。

CRPHは3月31日、議会定数の4分の1を軍人枠として、国軍による強い政治介入を事実上認めていた2008年制定の現行憲法を即時廃止するとの声明を発出。連邦民主憲章に基づき、大統領が率いる暫定統一政府を近く樹立すると宣言した。

20ページにわたる憲章には、国民投票を経た新憲法の制定など民主連邦制の確立に向けた行程表を盛り込む。暫定政府は、少数民族武装勢力や学識者など幅広い層が参画することも規定した。

CRPHは、拘束中のアウン・サン・スー・チー氏、大統領だったウィン・ミン氏の任期が満了した3月31日以降も、選挙で選ばれた議員らによる正式な政府としての立場を継続することを表明。クーデターに抗議する市民は、現行憲法をまとめた冊子を燃やす抗議活動を各地で挙行した。

地元報道関係者や外交筋には、国軍がCRPHの表明を受け、組織を打ち壊すために、さらに強い措置をとるとみる向きが多い。

CRPHが共闘を呼び掛ける少数民族武装勢力は、国軍の市民弾圧に反発を強めており、東部カイン州(旧カレン州)や北部カチン州では、軍側との衝突が発生。国軍はカイン州で空爆まで行ったが、31日に一転、4月末までの停戦を表明した。ただ、デモ隊への弾圧はやめない見通しだ。

■国軍系の商業施設が全焼

最大都市ヤンゴンでは1日午前2時ごろ、マヤンゴン郡区にある「ガンダマー・ホールセールス」、ダウンタウン地区にある「ルビー・マート」で火災が起き、両施設とも全焼した。いずれも国軍系企業が経営する。原因は調査中で、不満を持つ市民によるものか、国軍側の自作自演によるものかは、分かっていない。

ヤンゴンでは3月半ば、北郊ラインタヤ郡区などの中国系工場で原因不明の火災が起き、同郡区を含む6郡区に戒厳令が敷かれた。同火災では、国軍側に放火犯と断定された市民が軍事法廷で懲役刑を科されている。

戒厳令下のひとつ、北ダゴン郡区では治安部隊の監視が強まり、小さな路地に至るまでバリケードが全て撤去された。デモは大幅に減ったが、主要な交差点には兵士らが立ち、生鮮市場を除く商店の大半は閉まったままだという。建設関連の企業に勤める男性、マウン・モー・トゥさん(39)は「自警団員が理由なく拘束されたり、自動車の修理工場が破壊されたりといった被害が出ている」と話した。

郡区内外の出入りはできるが、恐怖から交通量はまばらだ。生鮮市場で魚介類を売る男性、ピョー・トーさん(51)も午前中しか営業できないといい、「国軍はデモをなくし、平和になったと見せたいようだが、脅されているだけ」と憤りをあらわにした。

ミャンマーの市民団体である政治犯支援協会(AAPP)によると、国軍の銃撃などによる死者はクーデター発生後から3月31日までに、536人に達している。