婚姻関係破綻なら中絶に配偶者の同意求めず 識者の見解は

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月15日(月)放送の「ニュースランキング」のコーナーでは、中絶を巡る配偶者の同意について議論を交わしました。

◆望まぬ出産を減らすべく、中絶の運用を見直し

女性が人工妊娠中絶する際、母体保護法の規定で必要とされる「配偶者の同意」について、厚生労働省はドメスティックバイオレンス(DV)などで婚姻関係が事実上破綻し、同意を得ることが困難な場合に限って不要とする運用指針を作成。婚姻関係の破綻の有無については、「本人からの申し出に基づき、日本産婦人科医会が指定する医師が判断するが、親族か夫婦関係を知る第三者に確認するのが望ましい」とし、判断の理由についてもカルテに記載するよう求める方針です。これまで配偶者の同意が得られず、望まぬ出産を余儀なくされるケースが相次いでおり、支援団体が見直しを求めていました。

圧倒的に女性からの関心が高かったこのニュースに対し、IT起業家の関口舞さんも「本当に深刻な問題」と胸を痛めます。昨年6月には性暴力で妊娠した未婚女性が複数の医療機関で中絶の手術を断られるという事案があったと言い、「これも、そもそもとてもつらい経験をして、中絶手術という苦しい決断をしながら、医療機関で何度も断られ、その度に何度もつらかった経験を話すことになってしまう。その心の傷は計りしれない」と被害女性を慮ります。

こうした女性への支援はまだまだ必要なものの、「少なくともこういった問題がちゃんと認知され、しっかりと政府が方針を示したことに意義がある」と話す一方で、「当事者が周りの人に言いづらいこともあるので、私たちがちゃんと見ていく必要がある」と訴えます。

国際弁護士で元裁判官の清原博さんは、「母体保護法という法律が1つの障壁」と言いつつ、「こうしたDV被害を受けている女性の声が国会に届かない」と指摘。そして、その要因の1つとして「女性議員の比率が低いこと」を挙げます。今ようやくそれも変わろうとしていますが、「やはり遅い」と意見しつつ、「女性の声を国会に届けるためにも女性議員を増やすことが必要」と期待します。

番組Twitterには、「医療機関側としては、中絶後のトラブルを考えたら、なるべく引き受けたくない案件」というツイートが。MCの堀潤も現場の医師に判断を仰ぐのであれば、何かしらのサポートが必要ではないかと危惧すると、清原さんも「DVや婚姻関係の破綻などを、最終的に医師が判断しなければいけないのは非常に酷だと思う。医師に対して助言を与えるような支援機関を政府が整えるべき」と主張します。

キャスターの宮瀬茉祐子は、中絶手術自体、母体にとって大きな負担となるため「アフターピルの問題も早期に考えていかなくてはいけない」と言い、それ以前に「こういったときにどうすればいいのか、関口さんがおっしゃっていたように周知や認知が足りないことを考えると、学校教育の場でも事前に学んでおく必要もあるのでは」と望んでいました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00(※番組終了)
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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