社説(4/3):皇位継承策/もはや先送りは許されない

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 もっと早く手を着けなければならなかった課題だ。政府、与党の腰は重いが、これ以上の先送りは許されない。
 安定的な皇位継承策に関する政府の有識者会議がようやく始動した。数カ月かけて論点を整理した上で国会に報告し、各党の意向を踏まえて秋までの意見集約を目指す。
 皇室典範は父方が天皇につながる男系男子が皇位を継承すると定める。だが、次世代の有資格者は秋篠宮さまの長男、悠仁さま(14)だけだ。皇位継承が危うい状況にあるのは明らかだ。
 上皇さまの天皇退位を可能にするため2017年6月に成立した皇室典範特例法には、天皇代替わり後、政府が安定的な皇位継承策を速やかに検討し、国会に報告することを求める付帯決議が盛り込まれていた。
 政府は非公式に有識者へのヒアリングを重ねてきたが、協議は後回しにしてきた。「天皇即位に伴う一連の儀式が済んでから」が表向きの理由だが、議論を避けてきたというのが実態に近い。
 論点となる「女性・女系天皇」や、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設などに踏み込めば、自民党内などの保守派から反発を招くからだ。
 継承策の決定時期について、安倍晋三前首相は4年前、天皇退位を巡る有識者会議メンバーとの会食で、当面は悠仁さまがいる上、男系維持と女系容認の意見は交わらないとして「40年先でいいんじゃないか」と発言。「いざとなったら、この国は神風が吹く」とまで言ってのけた。危機感のなさも極まれり、と言う他ない。
 世論の多くは皇位継承資格者を女性・女系へ広げることを支持する。共同通信社が20年3、4月に実施した世論調査で、女性天皇に85%、女系天皇には79%が賛成した。
 女性天皇は10代8人いるが、全て父方が天皇の血筋につながる男系だ。母方でつながる女系天皇はいない。
 保守派は女性、とりわけ女系の容認は「日本の伝統を破壊する」と異論を唱える。女性宮家も女性・女系天皇につながると反対する。
 終戦直後に廃止された旧宮家(旧皇族)の男系男子の皇籍復帰を求める意見がある。ただ、戦後70年以上も民間にあった旧宮家から人を招くことに国民の理解を得るのは難しい。
 結婚後の女性皇族に「皇女」の尊称を贈り、皇室離脱後も皇室活動への協力を委嘱する案も自民党内に浮上している。これとて負担軽減にはつながるが、皇位の安定継承の抜本策にはならない。
 意見集約は極めて難航することが予想される。しかし、女性皇族は近い将来、結婚して皇族でなくなる可能性があり、残された時間は決して多くない。政府には逃げることなく、正面から議論することを求めたい。