新型コロナによる精神的ストレスで歯の痛みを訴える人が増加、TMDUが確認

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東京医科歯科大学(TMDU)は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行の影響を受け、社会経済状況が悪化した人は歯の痛みを訴えることが多く、精神的ストレスがその主な中間因子であることを明らかにしたと発表した。

同成果は、TMDU大学院 医歯学総合研究科 国際健康推進医学分野の松山祐輔助教、同・健康推進歯学分野の相田潤教授、大阪国際がんセンターの田淵貴大副部長、名古屋大学大学院医学系研究科予防医学の竹内研時准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、歯学を扱う国際科学誌「Journal of Dental Research」に掲載された。

COVID-19の影響により社会活動が制限され、経済への影響が出ている。世帯収入の減少や失業など、社会経済状況の悪化は、口腔の健康にも悪影響を与える可能性があるという。今回の研究は、COVID-19の影響による社会経済状況の悪化と歯の痛みの関連を明らかにすることを目的として実施された。

今回の研究では、2020年8月から9月にかけて、日本全国の15~79歳の男女を対象として実施された大規模なインターネット調査である「JACSIS研究(Japan COVID-19 and Society Internet Survey)」の回答者2万5482名のデータを用いて分析が行われた。

COVID-19の影響による世帯収入の減少、仕事の減少、失業と直近1か月の歯の痛みの関連を、そのほかの背景因子を考慮した「多変量ロジスティック回帰分析」を用いた検証が行われた。さらに、世帯収入の減少と歯の痛みの中間因子についても媒介分析で検証が実施された。

その結果、歯の痛みは回答者の9.8%に見られ、世帯収入の減少、仕事の減少、失業が歯の痛みに統計的に有意に関連していることが確認された。世帯収入の減少、仕事の減少、失業を経験した人は、それぞれ1.42倍、1.58倍、2.17倍歯の痛みが多かったのである。

さらに、世帯収入の減少と歯の痛みの関連は、精神的ストレス(21.3%)、歯科受診の延期(12.4%)、歯磨きの減少(1.5%)、間食の増加(9.3%)が中間因子であることが明らかとなった。

COVID-19の影響で社会経済状況が悪化した人は、歯の痛みが多いことが明らかとなった。これは、社会経済状況の悪化が、精神的ストレスや健康行動の変化につながり、歯の痛みを引き起こした可能性があるという。

歯科疾患は最も多い病気の1つとされ、日本にも4000万人近くの人が治療を必要とするむし歯(詰め物が外れた状態なども含む)を有しており、コロナ禍で痛みが強く出る可能性もあるとする。COVID-19による収入の減少謝失業など、経済的影響痛いする政策が、歯科疾患の悪化を回避することにつながる可能性があると期待されるとしている。