新潟県の花角英世知事が原子力規制庁の荻野徹長官と面会し県の要望を伝える

荻野長官に県の要望書を手渡す花角知事

東京電力柏崎刈羽原発における相次ぐ不正事案(中央制御室への不正入室、核物質防護設備の機能の長期間複数か所での喪失=原子力規制委員会において重要度の評価区分を「赤」とされた、複数の未完了工事)を受け、新潟県の花角英世知事は5日、原子力規制委員会で原子力規制庁の荻野徹長官と面会し、柏崎刈羽原子力発電所に関する県の要望を伝えた。

花角知事は冒頭、「東京電力に対する新潟県民の信頼感は大きく損なわれている。新潟県独自で技術委員会を設けていて、先日開催した技術委員会でも『東京電力が本当に原子力発電所を運転するということについていいのか』、というような厳しい意見があった。加えて、先月開かれた新潟県議会の中でも、東京電力の適格性について厳しい審査を求める意見書が全会一致で採択されている」と新潟県の状況を説明。

その上で、原子力規制員会が「発電用原子炉の運転を的確に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と判断したことに対し、この判断後に一連の事案が相次いで発覚したことから改めて東電の能力について評価するよう求めた。「県民の信頼を確保するためにも厳格に対応していただきたい」と花角知事は強調していた。

これに対し荻野長官は、「委員会に報告し共有したい。また県議会の意見書も頂戴していて、しっかり読ませていただいている。一連の核物質規定違反事案は重大な事案だと認識している。特に機能の喪失事案の一部については、重要度・深刻度において最も厳しい評価をして、対応区分を4にした」と話した。4にしたことに伴い、東京電力には直接的な原因、根本的な原因、安全文化、核セキュリティ文化などについて第3者の評価も含めて評価をして報告するよう求めている。さらに、それをもとにした業務改善計画を6ヶ月以内に提出するよう求めている。

併せて、追加的な検査も実施していくという。「技術的な改善が見込める状態にあるのか見極めていくための厳しく長い検査(およそ2,000時間)になる」(荻野長官)という。また、「目指すところは(花角知事の求める要望と)同じで、技術的な改善が見込めるきちんとした事業者であるかどうかを見ていくことになる」とも語っていた。なお検査に際しては特別検査体制を構築していくそうだ。

面会の様子

また花角知事は、「核物質防護については一定の制約はあるとは思うが、できるだけ地元の不安に答える姿勢(情報の提供に対する東電の姿勢)について強く指導していただけないか」と要望していた。

これに対して荻野長官は、「難しいところがある」としながら、「テロリストをはじめとする悪意のある第三者を利するようなことになっては核セキュリティをやっている意味がなくなってしまうということが大前提。他方、きちんとした説明責任はあろうかと思っているので、本来公開できるはずのものまで闇雲に公開されなくなってしまうといったことは適切ではないと思っている」などと答えていた。

さらに、花角知事は、不正入室の問題で原子力規制庁から規制委員会への報告に時間がかかったことに対しても言及。これに対し、荻野長官は、「速やかに報告できなかったことは申し訳なく思うし、反省しなければならないと思う。検査・指摘事項になりそうなものについては、(規制委員会に)報告をしなければならないということになっているが、規定にも明記していきたい」などと語っていた。

花角英世知事

荻野徹長官

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