オークションハウスのPhillips、2020年の総売上高が約840億円(7億6000万ドル)を超える

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イギリスを発祥に、200年以上の歴史を持つオークションハウスのフィリップス。現在はヨーロッパ、アメリカ、日本を含むアジアなどにオフィスを構え、世界各地でサポートを行うフィリップスはこのたび、2020年の総売上高が7億6040万ドル(約840億円)であると発表。オークションの売上高は6億4800万ドル(710億円)を超え、プライベートセールの売上高は1億1320万ドル(約125億円)で1年を締めくくった。

ニューヨークのサウサンプトンにあるフィリップス

コロナ禍という困難な状況の中で成功の鍵を握ったのは、デジタル施策に力を入れデジタルプログラムを拡大し、オークションの新形態を模索したこと。その結果、フィリップスアプリのダウンロード率が254%増加、新規オンラインアカウント増加率136%増加、そして自社サイトへの新規訪問者数は62%増加したという。

オークションの様子

新たな販売プラットフォーム

2020年、フィリップスはアートを売買するための新しいデジタルオークション「GalleryOne」を発表した。従来のオークションカレンダーにとらわれず、オークションがオンラインにアップロードされ、7日間入札ができるようなシステム。利用者は、プライバシーが最大限に守られ、タイムリーなオークションの機会を受けることができる。また、9月には、Phillips.comで即時購入可能な高品質ジュエリーを提供する新しいオンラインサイトの「Flawless」も誕生した。

フィリップは、25のオークションをオンラインのみで開催したがが、オンラインセールスの作品数は50%増加したほか、アジアでのオンライン販売率が635%増加。11月にジュネーブにて行われた時計オークションにて、フィリップスオークションがオンラインで購入された商品の最高価格記録を更新するなど、デジタルエンゲージメントもめざましい。

オークションの様子はオンラインで中継される

カテゴリ別トップロット

カテゴリ別の高額落札作品を見ていこう。まず、20世紀美術と現代美術の部門では、デイヴィッド・ホックニーの風景画大作《Nichols Canyon》(1980)が約4100万ドル(約45億円)で落札。これはアーティストによる風景画のオークション世界額を記録した。版画部門では、パブロ・ピカソの《La Minotauromachie》(1935)が約127万ドル(約1億4000万円)、写真部門では、アンセル・アダムスの《Winter Sunrise, Sierra Nevada from Lone Pine, California》(1944)が約41万ドル(約4500万円)。デザインでは、ルーチョ・フォンタナとオズワルド・ボルサニの壁掛け式コンソール《Wall-mounted console, designed for the dining room of Casa S., Milan, circa》(1950)、時計ではパテック・フィリップの時計、ジュエリーではFeng J作のネックレス《Les Jardins de Giverny》がトップロットを記録した。

アンセル・アダムス《Winter Sunrise, Sierra Nevada from Lone Pine, California》(1944)
パブロ・ピカソ《La Minotauromachie》(1935)
デイヴィッド・ホックニー《Nichols Canyon》(1980)

日本人アーティストへの注目

日本人アーティストに動向にも注目したい。2020年、戦後前衛芸術のアーティストから、若いコンテンポラリーアーティストまで、フィリップス香港のオークションに出品された全日本人作家の作品が、100%の落札率となったという。

なかでも奈良美智の《Hothouse Doll》(1995)は、1億300万香港ドル(約14億円)という高価格で落札。これは、これまでフィリップス香港で販売されたアートの中で最も高価なアートワークとなり、フィリップス全体で販売された作品の中では3番目に高い取引額となった。また同年のフィリップス香港での販売では、加藤泉と塩田千春が上位2名となり、井田幸昌、ミヤ・アンドウのオークション記録を含む、複数の日本人アーティストがオークション記録を樹立した。

フィリップス香港でのオークションで奈良美智《Hothouse Doll》(1995)が落札される様子
奈良美智《Hothouse Doll》(1995)

2020年を振り返り、最高経営責任者(CEO)のエドワード・ドルマンは「今までにない変化が必要とされたこの年、フィリップスは、全カテゴリーと各地域で高い評価を得ると共に、数々の桁外れな売上を達成し、2020年を終えられたことを嬉しく思います」とコメント。この成果は、グローバルなコレクターの傾向と意向を反映し、数ではなく品質にフォーカスを置き、焦点を絞ったオークションを組み立てることでもたらされたこと、そして「フィリップスの長年に及ぶデジタルファースト、そしてクライアントファースト戦略の成功の証」だとコメントを締めくくっている。