阪神、単独首位も開幕9試合で見えた課題 球団OBが指摘「まさにそこが問題」

阪神・矢野燿大監督【写真:荒川祐史】

日本ハム、阪神などでプレーした野口寿浩氏が猛虎軍団を解説「リリーフ陣は強み」

阪神は4日、京セラドーム大阪で行われた中日戦に3-1で競り勝ち、開幕から3カード(9試合)を終えて単独首位に浮上。6日からは聖地・甲子園で、2位の巨人との3連戦に臨む。2005年以来16年ぶりの優勝を狙う猛虎軍団の強みと課題とは──。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で通算21年間捕手として活躍した野球評論家、野口寿浩氏が分析した。

今年の阪神の強みと課題は、この日の試合に凝縮されていた。先発のジョー・ガンケルが7回1死まで3安打1失点に抑え、その後は岩貞祐太、岩崎優、守護神ロベルト・スアレスのリレーで相手の反撃を封じた。「リリーフ陣は強みでしょうね」と野口氏。特にシーズンを通してセットアッパーの役割を期待される左腕の岩崎が好調で、野口氏は「ストレートの初速と終速の差が小さい。球の出どころは低いが、垂れずに捕手のミットに突き刺さる感じ。独特の球筋です」と指摘する。昨季途中にトレードでオリックスから加入した小林慶祐も好調。実績のある桑原謙太朗も控える救援陣は、確かに安定感抜群だ。

一方、阪神の課題は言わずと知れた、昨年までチーム失策数が3年連続リーグワーストの守備力である。この日も1点リードの4回1死一、二塁で、中日・平田が放ったボテボテの投ゴロを捕ったガンケルは、間に合わない二塁へ送球しオールセーフの野選。満塁となり、続く京田の打球は併殺コースの遊ゴロだったが、遊撃・山本の二塁へのトスが乱れ、タイムリーエラーで同点に追いつかれた。

巨人から金銭トレードで加入した山本は、阪神では高い守備力を誇り、この日も1回に高橋周の痛烈な遊ゴロを逆シングルで華麗にさばいてみせたが、大事なところでまさかのエラーが出た。「まさに、そこが問題です」と野口氏。「極端に言えば、いくらエラーしても失点につながらないのであれば構わない。しかし阪神の場合、タイムリーエラーも多いが、技量が高いはずの投手陣が、味方に失策が出た時に踏ん張れず、どんどん雰囲気を悪くすることが多い。そういう傾向は今季も今のところ改善されているとは言えない」と厳しく指摘する。

昨季は2位の座を確保した阪神だが、優勝した巨人には7.5ゲームの大差をつけられた。巨人との直接対決は13年連続で勝ち越せず(2009、10、11年は5分)、昨季も8勝16敗の“ダブルスコア”で負け越した。試合巧者の宿敵を上回るには、守備力の強化は避けて通れない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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