橋田壽賀子さん 代表作「渡る世間は鬼ばかり」開始のきっかけは…負債返済だった

橋田壽賀子さん

急性リンパ腫のため4日に95歳で亡くなった橋田壽賀子さんの最近の代表作と言えば、「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)だろう。1990年から2011年までシリーズとして制作され、連続ドラマ終了後も特番として放送が続いたが、名作ドラマは意外なきっかけでつくられたという。

ドラマ関係者の話。

「『渡鬼』の企画は当初からあったわけではありません。橋田さんの夫はTBS社員だったのですが、亡くなる前に『放送文化に貢献した人や作品を表彰する橋田賞を作ってほしい』とお願いしたそうなんです。夫の遺産は2億数千万円ぐらい残っていたが、財団を運営していくには3億円以上必要で、不足分はTBSに借りることに。その負債分を返済するために作られたのが『渡鬼』でした。結果的に負債以上のものをTBSに返すことになりましたけどね」

橋田さんとTBSの縁は深い。「時間ですよ」「女たちの忠臣蔵」をはじめとした数々の「東芝日曜劇場」を手掛けたほか、「渡鬼」シリーズ、さらに三浦友和と山口百恵さんが共演した「赤い疑惑」など多数の名作が挙げられる。もちろん〝盟友〟石井ふく子氏が同局のプロデューサーとして橋田さんと二人三脚だったこともあるが、それだけではない。

「TBSが開局したのは5月10日(1951年)なんですが、橋田さんの誕生日も5月10日(25年)なんですよ。そのぐらいTBSとは何らかの縁でつながっていたのでしょう」(TBS関係者)

橋田賞は今年で29回目を迎えたが、例年開催される授賞式では橋田さんの毒舌が有名だった。

「10年にはTBSの大ヒットドラマ『JIN―仁―』が受賞したが、最終回が続編を意識したような、中途半端な終わり方だった。これに橋田さんは納得できなかったようで『あれはどうなったの? 欲求不満になるわよ』と不満をぶつけ、関係者を困惑させていた」(ワイドショー関係者)

脚本家として言わずにいられなかったようだ。

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