外国の関東大震災復興支援 五島昇、生方たつゑ両氏ら謝意 署名録がベルギーで発見

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「感謝署名録」のローマ字による生方たつゑ氏の署名(左列上から5番目の四角で囲った部分)。間宮は生方氏の旧姓(共同)

 1923年の関東大震災後、外国の復興支援に謝意を示すため集めた署名の一部を載せ、ベルギーへ贈られた「感謝署名録」に、東急グループを率いた五島昇氏(1916~89年)や、戦後を代表する女性歌人、生方たつゑ氏(1905~2000年)ら著名人が若き日に書いたとみられる署名が載っていることが、5日分かった。

 署名録はルーベン大(ベルギー)のヤン・シュミット准教授(日本近代史)が今年1月までに発見。1923年秋に主に東京で行われた署名活動で集まった計約50万筆の一部、約1万5000筆が記されていた。当時、五島氏は学習院初等科、生方氏は日本女子大学校(現日本女子大)に在籍し、それぞれの生徒らが集団署名したページに名があった。生方氏は旧姓「間宮(まみや)」のローマ字署名。

 共同通信が保管先のブリュッセルの王立図書館で撮影した署名録の関係ページを両校が当時の名簿と照合し、自校在籍者によるものと確認。1世紀近い時を経た発見に、関係者から「奇跡だ」との声が上がった。

 学習院の署名には細川護熙元首相の父で肥後藩主細川家17代当主、護貞氏(1912~2005年)や、近衛文麿元首相の長男の軍人で、シベリアで抑留死し劇団四季のミュージカル「異国の丘」の主人公のモデルとなった文隆氏(1915~56年)らの名もあった。

 関東大震災では各国が現在の価値で1000億円超相当の義援金と支援物資を日本に送った。これを受け、学生らが「対外感謝市民署名会」を組織。街頭や学校で署名を集めた。

 東急広報グループは「五島元会長の少年時代の署名が約100年の時を経て遠く離れたベルギーで発見されたことはとても感慨深く『奇跡』とも言える発見に心より感謝する」とコメントした。

 生方氏の長女の料理研究家、美智子氏(92)は「保存してくださり本当にありがたい。(お礼の)気持ちが通じたのだと思う」と話した。震災発生時、たつゑ氏は三重県に帰省中だったという。

◎群馬・沼田とゆかり深い2人

 生方たつゑ氏は群馬県の沼田市名誉市民で、五島昇氏のルーツは旧沼田藩士。沼田とゆかりが深い2人の署名が見つかったことに、市民らは「功績を見つめ直す機会になれば」と期待する。

 同市は現在、中心市街地に歴史的建物を集める「大正ロマンのまちづくり」を進める。このエリアは元々、生方氏の著書などを所蔵する生方記念文庫があり、整備構想のきっかけとなった。さらに東京から洋館を2022年度までに移築する予定で、これを所有した元衆院議員の久米民之助は、五島氏の祖父に当たる。

 横山公一市長は「2人の署名が保存されていたことは貴重で、沼田との関わりを見てもドラマがある」と喜ぶ。同市の郷土史家、金井竹徳さんは「名誉市民だが、たつゑ氏の功績を知る人は少ない。これを機に、日本を代表する歌人だったことを知ってほしい」と願っている。(堀口純)

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