【大野忍 ひとりごと】佐々木則夫総監督から説教の毎日 選手の時に分からなかった指導者の苦労

【なでしこリーグ歴代最多182点 大野忍 ひとりごと】3月25日に福島からスタートした東京五輪の聖火リレー、第1走者のなでしこジャパンの一員として参加させていただきました。とても光栄なことでしたし、元気のない日本を明るくさせられるように、精一杯走りました。

久しぶりに会ったメンバーと「ここから私たちも始まったんだね」といった思い出話もして、雰囲気は“同窓会”。沿道で応援してくれた地元の方々も笑顔になってくれて、元気をもらいました。新型コロナウイルスの問題でいろいろ大変ですが、関係者の方々もかなり努力してくれているのを感じましたし、何とか無事に進んでいってほしいと思います。

今秋から始まる「WEリーグ」に向けて、大宮でのトレーニングも軌道に乗り始めました。前回のコラムでお話ししたように、なでしこジャパンの合宿に大宮からも選出されたメンバーがいることでコンディション調整も大変な中、ようやく選手たちの特長やチームの方向性をつかみ、やりがいを感じているところです。

ですが、最近少し壁みたいなものにもぶつかっています。佐々木則夫総監督からは説教の毎日。とにかく、いろいろ言われています。一番言われるのが、コーチとしての立ち居振る舞い。選手とどう接するか、どうやって選手の良さを引き出してあげるか、さらには普段の生活など、内容は様々です。

練習を見ていると「どうしてその簡単なプレーができないの?」と思う時があります。でも、それをどうやって伝えるか、どうやって教えるかというのは難しい。思っていることを言語化するのは簡単ではありませんし、私は私なりの方法で指導しています。

でも、ノリさんから見れば“まだまだ”に映るようです。怒られ方はここでは書き切れないので割愛しますが、必ず出てくるのは「お前のために言う」という言葉。自分が指導者になってみて、ノリさんがなでしこジャパンを率いていた時も大変だったんだろうな、と改めて感じています。「選手の出来=指導者の出来」という図式があります。選手の時にはわかりませんでしたが、今は痛いほどわかります。ノリさんが叱ってくれるのはありがたいことですし、怒られることは新鮮です。だから今はノリさんに褒められるように頑張っているところです。

男子の日本代表も国内での試合が再開され、なでしこジャパンもいよいよ8日にパラグアイ代表戦(仙台)、11日にパナマ代表戦(国立)が開催されます。後輩たちがどんな試合を見せてくれるのか、しっかりチェックしたいと思います。

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