未来への選択~2021糸魚川市長選〈1〉人口減少・少子高齢化 今後30年で2万人減 施策展開も特効薬なく

 任期満了に伴う糸魚川市長選挙が11日告示、同18日投開票で行われる。5期目を目指す現職・米田徹氏(72)、前市産学官推進企画幹で元海洋高校長の新人・久保田郁夫氏(63)が立候補を表明しており、一騎打ちになる見通し。新型コロナウイルスの影響を受ける中で、今後4年間のかじ取り役、地域の未来を選択する重要な選挙となる。人口減少・少子高齢化への対応など、論点となる課題、展望を全3回で紹介する。

 糸魚川市の人口は4月1日現在で4万1010人。減少が急速に進んでいる。国立社会保障・人口問題研究所の「市区町村別将来推計人口」(2018年推計)によると、2045年の当市の人口は2万4201人。15年からの30年間、合併前の旧能生町、旧青海町の人口に相当する約2万人が今後減少するという、衝撃の数値が示されている。

園庭で元気に遊ぶ園児。出生数は年々減少している(糸魚川東保育園)

 20年をピークに65歳以上の老齢人口も減少に転ずるが、高齢化率は上昇する。少子化傾向も顕著。19年の出生数は209人、約20年間で半減している。05年の3市町合併後、小学校4校と中学校1校が閉校している。

 市の分析によると、人口減少の影響は、行財政状況の悪化、企業の人手・後継者不足、医療・福祉費の負担増など多岐にわたる。移住・定住、人材育成等の施策を複合的に展開しているが、特効薬はない。

 有権者である自治組織の会長を務める男性(79)は、コロナ禍などの環境変化を捉え「人口減対策にもっと力を入れるべきだ。都市の形を成さなくなる」と危惧。「外にいったん出た子どもに対し『戻ってきて』と願う親自体が少ない」地域性とともに、糸魚川から上越市内の学校に通う子どもの増加傾向も懸念した。 

 人口減対策として米田氏は、抜本的な課題解決には「教育が最も重要」と位置付け、子育て支援や教育の推進を掲げる。久保田氏は、「4万人市民を8万人市民へ」と関係人口増加を展望、子育てしやすい環境整備などを挙げる。

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