台湾のお弁当箱といえば、レトロかわいいステンレス製?便利なガラス製?

ガラス製のお弁当箱に入った愛情たっぷりな手作りのお弁当写真提供:K.O

台湾のお弁箱といえばステンレス製。臺鐵のショップなどで売られていて、かわいい見た目も相まって、お土産として買い求めたことがある人も多いのでは? 

お土産としても人気な台湾のステンレス製のお弁当箱

台湾でこのステンレスのお弁当箱がよく使われるのは、小・中学校時代。持参したお弁当を「蒸飯箱/便當箱」と呼ばれる蒸し器で温めるため、ステンレス製のお弁当箱が便利なのです。

台湾人の友人に学生時代のお弁当事情を聞いてみると——

「4時限目が終わったら、お弁当を蒸し器の前まで回して、一番近くの人が蒸し器に入れるよ!」
「2クラスで1つの蒸し器を使う場合は、教室の外にある蒸し器に自分で入れてたなぁ」
「ステンレス製のお弁当は区別がつきにくいから、名前を書いたお弁当バンドを巻いて一緒に蒸し器に入れるの。そしてそのバンドは、熱々のお弁当を取り出すのに便利だったんだよねぇ」
「多くのお弁当を一緒に蒸すから、においが混ざるし、べちょべちょになっちゃうから、おいしくなくなるのがちょっと残念で、嫌だなぁと言う子も多かったけど、私はすぐ慣れたよ」

——など、日本ではあまり聞けない話を嬉しそうに教えてくれました。お弁当が学生時代の思い出の1ページになっているのだなぁと、聞いてこちらまでなぜか懐かしい思いになりました。

また、台湾らしいなと思うのが、お弁当の内容は前日の夕食と全く一緒だという点。だから前日の夜に料理をしなければ、翌日のお弁当はなし。その場合は福利社と呼ばれる売店で昼食を購入したり、近くのお店に配達をお願いしたりするそうです。ちなみに最近は「營養午餐(学校給食)」制度を取り入れている小中学校も増えています。学期ごとに希望者を募り、申し込んだ人はその学期中給食を食べられるシステム。聞くと、ほとんどの学生が申し込むそうですよ! 

そんな台湾人の学生時代の思い出が詰まったステンレス製のお弁当箱ですが、社会人になるとほぼ使われません。ステンレス製のお弁当箱の代わりに大活躍するのがガラス製のお弁当箱です。

私は日本にいる時の習慣で、プラスチック製のお弁当箱を使っていたのですが、台湾人の同僚はガラス製一択。聞くと「プラスチックをレンジするなんて体に悪いに決まっているし、洗うのが大変。その点ガラス製はレンジしても安心だし、洗う時に油分が簡単に落ちる」からなんだそう。

試しにガラス製のお弁当箱を使ってみたら、同僚の言うとおり汚れが落ちやすい! それ以来私もガラス製のお弁当を愛用しているのですが、唯一重いことだけが不満。でも同僚は一度もそんな不満を言ったことがありません。

そういえば、ガラス製のお弁当箱を持ってきている同僚たちは、みんなスクーター出勤なのでした。そうか、お弁当箱が重いなんていう不満は、スクーター大国台湾では、感じる人が少ないんだなぁ。


Text・写真提供:森下実希(台湾観光情報発信サイト「TaipeiNavi」編集部編集長)

Edited:小俣悦子(フリーランス編集・ライター)

© 株式会社エスピーオー