竹で雑草防ぐ研究 大地の力コンペ全国3位 諫早農高生物工学部

全国3位の奨励賞を受賞した生物工学部=諫早市、諫早農業高

 県立諫早農業高(長崎県諫早市立石町)の生物工学部(石丸陽翔部長、9人)が企画研究し、竹が持つ成長阻害物質を雑草防除に活用する「竹林de農活プロジェクト」が、「大地の力コンペ2021」で全国3位となる奨励賞に輝いた。
 同コンペは一般社団法人未来農業創造研究会が主催し、5回目。農業を通して社会課題の解決を目指すアイデアを表彰する。今年は「農業×強く優しくしなやかな生活様式」をテーマに、環境変化や災害に打ち勝つアイデアを募集。全国から40件の応募があり、2次審査を通過した7件が入賞した。
 生物工学部は、土砂災害などの原因となる放置竹林対策として、地元企業などと連携して、19年9月から竹の有効活用を研究。竹が持つ殺菌効果や成長阻害物質に注目し、雑草防除剤として使用する方法を考案した。
 当初、ビーカーの中で竹粉末を混ぜて、野菜の苗の栽培試験をしたところ、成長阻害効果が確認できた。しかし、プランターや畑の土で実験すると、逆に野菜が良く成長してしまった。
 研究を重ねてこの難問に挑戦し続け、昨年冬、成長阻害物質が水溶性であることを突き止めた。
 雨などの影響が少ないビニールシートをかぶせたマルチ栽培のジャガイモで実験したところ、ジャガイモの成育に影響が出ず、雑草の発生を抑える効果が認められた。成長阻害物質は、シートに穴が空いた苗の部分では雨水などで溶け、シートに覆われた部分は溶けずに効果が出たという。
 研究は雲仙市内の生産者らの協力で継続中。コンペでは産・学が連携し、地元に広がりを見せた研究活動として評価された。
 バイオ園芸科3年の石丸部長(17)は「誰もが気軽に使える資源として活用してもらい、少しでも放置竹林問題が解決できれば。今後はトマトやナスでも使えるよう研究していきたい」と受賞を喜んだ。


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