<社説>民主・維新合流へ 明確な対立軸を提示せよ

 民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は26日にも党首会談を行い、両党合流へ正式合意する。夏に予定される参院選へ向け、共産党が1人区で候補取り下げを表明したことに続き、野党共闘が一層加速する。民主、維新の両党をはじめ、共闘する野党は一刻も早く政策を擦り合わせ、有権者に明確な対立軸を示すべきだ。 民主、共産、維新、社民、生活の5党は19日に安全保障関連法の廃止法案を共同提出している。安保法以外にも、9条改正を視野に安倍晋三首相が意欲を見せる憲法改正に対し、民主党が「現政権での改憲阻止」を掲げている。

 こうした論点で野党各党が一致点を見いだし、政権との論争に臨んでもらいたい。

 一昨年の県知事選や衆院選沖縄選挙区では「辺野古移設の是非」を争点に掲げ、現政権と「オール沖縄」陣営が論戦を展開した。参院選でも「安保法」「憲法」と争点を明確にすることで論争が深まり、有権者の関心も高まるだろう。同時に現政権が強行する「普天間飛行場の辺野古移設」を含め、沖縄の基地問題も全国的な課題として国民に提示してもらいたい。

 昨年12月には安保法に反対する若者のグループ「SEALDs(シールズ)」など五つの市民団体が結束し「市民連合」が発足した。市民連合は民主、共産、維新、社民の各党が参院選熊本選挙区に擁立した候補を推薦し、その理念を実現しようと行動している。

 野党共闘が、各選挙区での票の集約といった数合わせであってはならない。政権側からは「野合」との批判も聞こえてくるが、市民連合に象徴される国民の声を十分に吸い上げ、受け皿となれるかが野党共闘には問われている。

 その意味で合流後、自民に次ぐ勢力となる民主、維新の責任は大きい。だが共同通信が20、21日に実施した全国電話世論調査で民主、維新が「一つの党になる必要はない」と回答した人が65・9%いたのに、「なった方がよい」は20・9%だった。

 消費税増税反対や安保法への対応で両党は一致したものの、環太平洋連携協定(TPP)承認案に関しては隔たりもある。合流が実現しても国民の目は厳しい。

 「野合」の批判をはね返すためにも、明確な争点を提示できるよう合流後の新党には議論をリードする役割が求められる。

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