結論ありきだ! 当選無効スーパークレイジー君が憤る選管4つの調査不足

どこか背中がさびしいスーパークレイジー君

異端児はやはり〝闇〟に葬り去られてしまうのか――。1月の埼玉・戸田市議選に当選した歌手のスーパークレイジー君(34)に9日、当選無効のジャッジが下された。市民から出されていた当選無効を求める異議申し立てに対し、市選挙管理委員会は居住実態がなかったとして、クロの判定を出したのだ。ただその調査は?がつく内容で、市トップのとんでもない〝やらかし〟も判明した。

少年院、逮捕歴、暴走族…と破天荒な過去を持ちながらも市議に当選して、一躍、世間の注目を集めたクレイジー君が一転、奈落の底に落とされた。

公職選挙法では選挙の3か月前から当該自治体の居住を定めているが、選管は「戸田市に居住の実態がないと考えられる」として、クレイジー君の当選無効を通告したのだ。

理由として挙げたのは(1)アパートの名義人が当選人でない(2)表札を掲出していない(3)クレジットカードなどの利用明細の提出がない(4)聞き取りを行った周辺住民5人全員がクレイジー君を見たことがないなどと列挙したが、決定的なクロ材料はなかった。

身の潔白を訴えていたクレイジー君は怒りを通り越して、呆れるばかりだ。

「過去にいろいろあるから自分の名義で部屋を借りることができないので、友人の部屋を借りることは選管に選挙前から事前に伝えていた」「ある程度、名前が知られているのでイタズラされるから表札は出さない」「クレジットカードは持っていない」「選管が聞き込み調査したのは5人って何ですか…。せめて50人くらいに聞いてくれと言いたい」。

そもそもクレイジー君と選管との関係は最悪だった。クレイジー君が当選から3か月以内に辞職した場合、次点の候補が繰り上がるとあって、当選直後から周辺では不穏な動きがあった。クレイジー君は選管の事務局長から「裁判になれば相手は巨大組織」「今ならごめんなさいできる」と辞職圧力があったことを暴露すれば、「背後に宗教が関与している」と言及し、市役所や議会の闇が浮き彫りとなった。

選管には不信感しかなかったクレイジー君は、調査に対して、終始ケンカ腰になった。居住実態の調査も通常、申し立てから1か月以内で決着するところが、1か月近く延期となっていたことにも「自分をなんとしてでもクロにしようとしている」と疑念は膨れ上がるばかりだったが、案の定の結果となった。

さらにクレイジー君が驚愕したのは、当選無効が伝えられる前日のことだ。自身のツイッターに「いよいよ明日 判断が下される」と書き込んだのに対し、戸田市民とみられるユーザーから「ここまで引っ張って、『異議申し立ての取り下げがあった為、調査終了』なんて報告だったら大爆笑ものですよ!」との返事があったのだが、これに「いいね」したのが、なんと菅原文仁戸田市長(45)だったのだ。

いうまでもなく市長は選管を管轄するトップ。クレイジー君への辞職圧力で市幹部に1か月の停職処分が下った際、菅原市長は「今後はこのようなことがないよう職員の綱紀保持に努めてまいります」と議会で謝罪したばかりだ。

その市長が因縁のクレイジー君の騒動を茶化したやりとりに「いいね」をするとは、冗談でも手が滑ったとはいえないところ。クレイジー君は「その件は知っていますが、ちょっと…」と言葉少なで、ショックの大きさがうかがいしれた。

当選無効の決定が出たクレイジー君だが、すぐさまバッジが取り上げられるワケではない。県選管に対し、決定取り消しを求めて、審査申し立てが可能で、その後も高裁への訴訟、最高裁での上告と争う場がある。

クレイジー君は「弁護士をつけて、徹底抗戦します。争いが続くので1~2年かかるかもしれないが、その間、議員として、やることはやる。戸田市民からすれば、僕の内情は関係ないですからね」と気丈に話したが、得体の知れない〝巨大組織〟相手にイバラの道となりそうだ。

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