【どげん?なヒーローファイル ・番外編】KBC「ドゲンジャーズ」放送企画 出演・脚本のシャベリーマンにインタビュー!

4月11日、福岡発特撮ドラマのシーズン2「ドゲンジャーズ~ナイスバディ~」がいよいよスタートする(KBC九州朝日放送日曜午前10:00。TOKYO MX、KKB鹿児島放送、17日からKAB熊本朝日放送でも放送)。TVガイドwebでは、これまで4回にわたって、主要ヒーロー・怪人たちのプロフィールを「ヒーロー履歴書」として紹介してきた。

個性豊かなキャラクターたちこそ「ドゲンジャーズ」の魅力だが、彼らのコミカルな掛け合いをテンポよく伝えられるのは演出・脚本家の手腕も大きい。メガホンをとるのは、戦隊史上初の女性監督で2019年に放送されたドラマ「トクサツガガガ」(NHK)などに携わった荒川史絵氏がシーズン1から続投。シーズン2からは「仮面ライダー」シリーズなどを手掛けた鈴村展弘氏が加わり荒川とタッグを組む。脚本は、シーズン1に続いて2も、シャベリーマンが担当する。

シャベリーマンって、…まさか“あの”怪人!? ということで、われわれは福岡市にある「悪の秘密結社」本社へ。今回は履歴書企画の“番外編”として、出演・脚本・演出を担当するシャベリーマン(笹井浩生)にインタビューを実施。脚本や番組制作についての裏話、シーズン2への意気込みなどを聞いた(シャベリーマン、時々、笹井)。

――まずは自己紹介をお願いします。

「株式会社悪の秘密結社、広“砲”部長のシャベリーマンでございます」

――普段はどういうお仕事をされているのですか。

「『ドゲンジャーズ』の脚本とプロデューサーをやらせていただいております。あと、大きな役割としてはヒーローショーの脚本ですね」

――昨年放送されたシーズン1(2020年4月12日~)、Twitterでは毎週トレンド入りするなど話題になっていましたね。

「シーズン1は、去年の緊急事態宣言中に始まりました。確かにTwitterのリアクションはよかったですが、それはあくまでSNS(会員制交流サイト)の世界なのでずっと不安でした。いくら反応がよくても緊急事態宣言下でヒーローショーはできないし、子どもたちに会える機会もない。結局『よかったよ』って聞くのは知り合いだけ。それが11話まで続いて、『これ意味あったのかな?』という気持ちがよぎったのが正直なところです。そういう状況が続いていましたが、11話放送終了後の最終回の手前で初めてヒーローショーをやれたんです。その時に『かしいかえん』(福岡市東区にあるレジャー施設。12月で閉園予定)でリハーサルしていたら『警察が来た』ってスタッフの方から言われて。『…キタキュウマンまた不祥事起こした?』って思ったんですけど(笑)。そしたら『入園待ちの車で道路がふさがっているので早く(入場ゲートを)開けてください』って言われたんです。僕ら今まで100人とか200人くらいしかお客さんを呼べなかったのですが、結局その時、2500人ほど集まってくださって驚きましたね。なので、そういう“実感”は最終話前になって初めて気付いたという感じでした」

――そうした反響の大きさにはどういう要因があったのでしょうか。

「悪の秘密結社は、以前からキタキュウマンやエルブレイブらそれぞれとヒーローショーをしていました。ヒーローも“悪者”がいないと戦えないので『僕が営業行って(仕事)取ってくるからヒーローショーを一緒にやろうよ』っていう関係でやってきました。そんな中で昔、キタキュウマンの一人称を“俺”にした台本を作ったんです。そしたらキタキュウマンから『一人称は“俺”じゃない、“私”だ』とか、『絶対に許さない!』ってセリフを書いたら『私はそういうこと言わない。できれば戦いたくないし』って言われまして(笑)。そんなやりとりを各ヒーローとやっていたから、僕はそれぞれのルールや彼らが嫌うこと好きなこと全部知っています。そういう土壌が『ドゲンジャーズ』らしさにつながっていますね。作品の表現方法にも『らしさ』があって。例えば普段生活していて、朝起きた瞬間に『福岡最高!』って寝起きで即思う人は少ないと思います(笑)。『福岡に生まれてよかった』じゃなくて、日常で起きる問題を誰かと一緒に乗り越えた時に初めて『あぁ、この人と出会えてよかった! この福岡で!』と思うはずなんです。なので作中では福岡という地域を前面に押し出しませんでした。あくまで“僕らのストーリーの舞台が福岡だった”という表現方法が『地元愛を押し付けられなくて見やすかった』という全国の視聴者の方々が喜んでくださる結果につながったのかなって思います」

――普段はヒーローショーの脚本がメインだということですが、ドラマの脚本を書くにあたって違いはあったのでしょうか。

「先ほどの話になりますが、ヒーローショーはヒーローによって話を書き分けています。なので、ゴールデンウイークが10日間あった時とかは、10日間全部違う台本ですよ。普通はそんなことあり得ないんですよね。基本、ヒーローショーって1本クールで脚本を作ったらそれを回すんです。だけど、僕はそういうやり方でこれまで約400本書いてきて。素人でしたが、さすがに400本書くと成功と失敗が積み重なっていて、それはドラマの脚本を書く時にも生きてきました。『これ面白いやろー』ってやったらショーで全然ウケなかったこともありました(笑)」

――作中は、福岡県民にとって見慣れた場所が多く登場していたと感じました。ロケ地はどのように決められているのでしょうか?

「シーズン1も2も、僕らが人気の無い頃から面倒を見てくださった施設様優先で相談させてもらってます。これまでの恩返しをできればと思って! ちなみにシーズン2は『だざいふ遊園地』(福岡県太宰府市にあるレジャー施設)でも撮影しましたよ」

――本編最後に出てくる「ヒーローたちは実在しますが、この物語はフィクションです。」というテロップは、「ドゲンジャーズ」ならではですね。

「あのテロップは結構喜んでもらっています! 実在するヒーローっていう、みんなと同じ時間過ごしてみんなと同じ失敗をする。…Twitter凍結(※)されたりね(笑)。僕らはそんな失敗もするし、みんなの手の届く成功をするんですよね。そういう姿をお見せしたいです」

※SNS担当のキタキュウマンが設定を誤り、ドゲンジャーズ公式Twitterのアカウントを一時凍結させてしまった実際の出来事。

――では、シーズン2「ドゲンジャーズ~ナイスバディ~」について伺います。ヒロインがヤバイ仮面と聞いて、正直戸惑いました(笑)。

「どういうことなんでしょうね(笑)。結局シーズン1は、正義の味方と悪者が戦って悪者が負けて。でも、固定概念で負けたら違う悪者が出てくるか、そいつらが強力になって出てくるかだと思うんです。でも『実在するヒーロー』は、“負けても実在”している。だけど、急に強くはなれないしパワーバランスは変わらない。そして今作は新たな第3勢力・グレイトZというキャラが出てきますけど、そこに悪者が引き抜かれたら“(マリオシリーズでいう)ピーチ姫”になれるんじゃないか? それは新しいなと思いましたね」

――撮影・制作の現場について教えてください。

「芝居の仕方とか、ショーとは全然違います。シュールなセリフに対する動きなど基本は監督が現場で指示を出しますが、僕も気になる時は言います。一般的な特撮にある『変身!』のようなカットって、とても気を使うんです。決めゼリフやポーズ、それはスポンサーさんの意向とかもあるんで仕方ないことなんですけどね。…でも、僕らは『面白いかどうかで決める』ということをルールにしています。例えば、シーズン1って大賀薬局さんがほとんど出資してくださっているのに、オーガマン(同社のヒーローキャラクター)の出演は(12話中)4話…。実は台本が書き上がった後に大賀社長に『すみません! 出番は少ないですが、僕はこれが面白いと思って書きました! 信じてください!』と半泣きで報告したんです。そこで『笹井が面白いと思うならいいよ!』と快諾いただけたことが、今の『ドゲンジャーズ』の基礎になっていますし、ものすごく感謝しています」

――シャベリーマンさんは、KBC「Touch」(月~金曜午後1:45)でメインMCを務める“お昼の顔”という一面もあります。お話を聞いた時、どういう気持ちでしたか。

「『ドゲンジャーズ』の放送があってお話をいただいたので、ありがたかったですね。先日、番組のプロデューサーと話をしました。今もコロナの影響は続いているので、僕ら(ドゲンジャーズ)が皆さんに会える機会というのは少ない。でもやるからには今できることを全部やりたい。今後は収録とかも積極的にやっていきましょう、と話しました。僕、しゃべりはそこそこうまいと思いますよ?(笑)。でも、大雅さん(「Touch」で共演するKBCの長岡大雅アナ)は本当に(しゃべりが)うまいですね。大雅氏は天才です」

――KBCのYouTubeチャンネルでは、シャベリーマンさんと長岡アナの初対面時の動画が上がっていましたね。

「あの動画は“ガチ”初対面でしたね(笑)。今では、ばり(とても)仲良しで2人で買い物とかよく行きますよ。こっちは素顔なのに『ねぇーシャベリーさぁ』ってめちゃくちゃ大きい声で呼ばれて、『シャベリーって言わんで』みたいなやりとりをしています(笑)。今後は、一応“子ども向け”の形で『ドゲンジャーズ』というコンテンツがあって、もう一つ“実在するキャラクター”としての可能性、選択肢として僕自身が『Touch』をやらせてもらう。そういう感じで、広めていけるように頑張りたいです」

――ズバリ、これから目指すところは?

「一部上場です!…(笑)。そのためにも規模を日本、世界にしたいですね。あっ…そういえば『ドゲンジャーズ』が海外でも放送されるんでした!(記者もそこで初めて知る)。マレーシア、ブルネイ、シンガポール。全部吹き替えられていました。しかもこれ“全国放送”なんです、日本では全国で見れないのに(笑)。ただ、宗教的なこともあってオーガマンの顔の十字架を少し変える必要があったり、新たな学びもたくさんありました。スケールの大きいことを言っていますが何よりも、『ドゲンジャーズ』を継続できる形にしていきたいなと思っています」

――あらためてシーズン2の見どころを教えてください。

「今作は、一つの核心に12話を通して迫っていきます。ファーストシーズンはそれぞれのヒーローたちのお披露目要素が大きかったので、普通といえば普通のことですよね。そして今作は僕ら“実在するヒーロー”が避けられない問題にも少し踏み込んでいます。予告ムービーのスキャンダルもそうですよね(笑)。でも正直、炎上したらどうしようって不安もあります…。ただ、日本一有名なスーツアクターの高岩成二さんにもご出演いただてますし、制作スタッフは全員本気です。なので僕も絶対に生半可なものにはしたくないという気持ちで必死に書きました。…あ、でもそれは僕の意気込みなだけなのでご安心ください! めっちゃ“ばか番組”です! 明るく楽しく今作もドゲンジャーズはアホ丸出しです! マジでアホです!」

――ありがとうございました。

「でももしマジで炎上したら僕、福岡から追い出されるので言い訳を聞きにきてくださいね…(涙)」

【番組情報】

「DOGENDERS~NICE BUDDY~(ドゲンジャーズ~ナイスバディ~)」
KBC 九州朝日放送・KKB 鹿児島放送
4月11日スタート 日曜午前10:00~10:30
TOKYO MX
4月11日スタート 日曜午前10:30~11:00
KAB 熊本朝日放送
4月17日スタート 午前10:20~10:50

出演/正木郁、鈴木勝大、高岩成二、横山一敏、伊藤慎、押川善文、藤家剛、齋藤慧典
菊地貴裕、TAKAHARU、藤原圭一郎、手嶋佳宣 、大塚剛輝、中村裕
声の出演/岸祐二、関智一、橘龍丸
脚本/シャベリーマン
アクション監督/おぐらとしひろ
監督/荒川史絵、鈴村展弘

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