空手パワハラ騒動 植草歩が問題にしたのは“竹刀”ではなかった!

空手界の“きゃりーぱみゅぱみゅ”こと植草歩

グダグダ決着の裏に潜むものは…。空手の東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩(28=JAL)が、全日本空手道連盟(全空連)の香川政夫強化委員長(65)から竹刀を使った練習で目を負傷するなどパワハラを訴えていた問題で、全空連は9日の臨時理事会で同氏の強化委員長解任と理事の辞任を決議した。

何とも“グレー”な決着だった。植草は1月27日の練習中に竹刀で顔面を打たれて「左眼球打撲」の診断を受けたが、香川氏は竹刀の使用を認めつつも「故意にやったことは決してありません」と否定。全空連も「両者の言い分が食い違っている。意図的なのか、たまたま当たったのか。事実確認に限界があった」としている。

そんな中、本紙が複数の連盟関係者を取材すると、問題の根幹にあるのは「竹刀」ではなかった。植草の代理人を務める境田正樹弁護士は本紙の取材に対して「植草さんは科学的なトレーニングがやりたかった。大学に行ってスポーツ科学を勉強し、自分を実験台にして東京五輪に行く夢を持っていたんです。その機会を奪われ、頭ごなしに古いやり方を押しつけられた。それで彼女は心を閉ざし、自分らしく輝ける場がなくなった。竹刀ではなく、敬意を払わなかったことが一番の大きな問題なんです」と力説した。

全空連関係者も「実は植草さん自身も竹刀の一件をそれほど重く見ていない。問題を大きくするために竹刀という“パワーワード”が利用された感がある」と指摘。実際、ここまで大ごとになるとは思っていなかった植草は後戻りできずに、戸惑いを隠せないでいるという証言もある。

一方で、連盟内には指導者として香川氏の手腕を高く評価する声も根強い。「竹刀を使ったのは問題だが、必要以上に大騒ぎされてハメられた」と主張する関係者もいるほど。

いずれにせよ、五輪まで4か月を切る中で誰も得をしない結末となってしまった。

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