元燕ドラ1左腕は独立Lに何を求める? 「NPBって目標もありますけど…けじめ」

先発したBC栃木・村中恭兵【写真:小西亮】

BC栃木加入の左腕・村中恭兵、独立Lで初先発「投球自体はすごく良かった」

元ヤクルトで、今季からルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスに加入した村中恭兵投手が10日、本拠地開幕となる神奈川フューチャードリームス戦で独立リーグ初先発した。4回まで無安打の安定感で、5回を3安打2失点にまとめた。昨季限りで沖縄初のプロ野球球団「琉球ブルーオーシャンズ」を退団し、現役続行を決断。かつてのドラ1左腕は、新天地で自らの納得を求めてマウンドに立つ。

球速は130キロ後半。それでも、3000人余りの観客は十分に“元NPB”を味わった。4回まで出した走者は、野手の2失策と四球による3人のみ。「真っ直ぐはしっかりコーナーに投げ分けられていた」とゴロの山を築いた。5回の先頭に左前打を許したが、続く打者を投手併殺打に。その後、連打から自らのグラブトス悪送球と暴投で2点は失ったものの「投球自体はすごく良かったかなと思います」と自己評価した。

3日の埼玉武蔵ヒートベアーズとのリーグ開幕戦で、中継ぎとして独立リーグデビュー。この日は、元ロッテの成瀬善久兼任投手コーチから任され、まっさらなマウンドに上がった。元巨人の寺内崇幸監督も「マウンドさばきや、浮き沈みなく一定でいられるのはさすが。チームの支えになってくれると思う」とうなずいた。

先発したBC栃木・村中恭兵【写真:小西亮】

昨季は琉球球団でプレーも「ある程度良くなってきた中で終わってしまって…」

2005年の高校生ドラフトで1巡目指名を受けた左腕も、今年で34歳のシーズンを迎えた。14年間在籍したヤクルトでは2010年に11勝、2012年には10勝を挙げたものの、その後は故障の影響もあって2019年限りで戦力外通告を受けた。昨季は新たに立ち上がった琉球球団へ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響でチームは思うような活動ができず、村中は1年で退団した。

30代半ばへと向かう中、引退という選択肢もあったはず。それでも独立リーグでユニホームを着続けることを選んだ。「去年1年間、ある程度良くなってきた中で終わってしまって……」。左腕に宿る手応えに、気持ちを奮い立たせた。

「NPB(復帰)って目標も、もちろんあるんですけど。けじめっていう部分で、しっかり投げている姿を見せたいというのもありました」

後悔を残さないための“もう1年”。「今はまずチームのために、一戦一戦、一球一球投げ切ることだけを考えて。来シーズンのことは考えずに、この1年をどうやっていくかを考えています」。先は見ない。目の前をやり切る。栃木の地で腕を振り、少しでも輝きを取り戻そうとしている。(小西亮 / Ryo Konishi)

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