【解説】 「ビラ禁止法」に対する姑息な米議会聴聞会の背景と目的

爆破された北南共同連絡事務所

 米国議会の人権委員会が朝鮮に向けたビラ散布を禁止する「ビラ禁止法」に関連してオンライン聴聞会を15日に開催するという。

 この「ビラ禁止法」は、昨年朝鮮側の強い抗議を受けて文在寅政権があわてて作り、3月30日から施行された。軍事境界線南側地域から朝鮮を誹謗中傷する悪質な風船ビラを散布する「脱北者」団体の敵対行為を中止させることは、もともと北南首脳会談で文在寅大統領自身が約束したことで、板門店宣言にも明記されている。しかし文在寅政権は約束を守らず1年以上に渡って放置し朝鮮側の強い抗議と、北南共同連絡事務所の爆破を招いたことは周知の事実。

 世論の厳しい非難に直面した文在寅政権は「ビラ禁止法」を国会に上程、通過させ施行するに至るが、米国務省など政府と議会は「表現の自由」「知る権利」など、理由にならない理由を挙げて非難してきた。風船ビラの散布は明らかに朝鮮に対する敵対行為で、一歩間違えれば武力衝突に発展しかねない危険な行為。「表現の自由」「知る権利」云々は強弁に過ぎない。

 風船ビラの散布が米CIAの指示でNEDの資金によって強行されていたということは秘密ではなく、広く知られている事実。朝鮮に対する浸透の手段を何も持たないCIAが懸命に行っている稚拙な宣伝工作だ。

 米議会などが「ビラ禁止法」を非難しているのは、この稚拙な工作までもが朝鮮側の抗議によって封じられたことに対する腹いせに過ぎない。反社会的な行為をとがめられ不満を募らせ犯罪に走る不良少年よりも低劣で質が悪い。

 「政治と帝国に関する独自の調査ジャーナリズム」として知られる「THE GRAYZONE」は、「脱北者」団体である「自由北韓運動連合」などによる風船ビラの散布は、米国の朝鮮に対する「ハイブリッド戦争」の一環。CIAは「ソウルで反北朝鮮宣伝」を専門に行う「メディア装置」を設置しており、その資金は、NED(全米民主主義基金)が提供している。この「メディア装置」は、「デイリーNK」や「Radio Free Chosun、Open North Korea Radio」などの「統一メディアグループ」、「自由北韓運動連合」、「NAUH」などのいわゆる「脱北人権団体」等々で構成されている。

「ビラ禁止法」を非難する米議会の聴聞会は、朝鮮側に頓挫させられ、打撃を受けた対朝鮮「ハイブリット戦争」の一部である、稚拙な風船ビラを復活させようとする姑息な悪あがきと言える。

「ビラ禁止法」は韓国国会での議決を経た主権行為だ。

韓国が独立国家であるのなら文在寅政権は、米議会聴聞会対して厳重に抗議し、中止を強く求めてしかるべきだ。

にもかかわらず、韓国外交部は米議会と「疎通する」と述べるにとどまっており、青瓦台、大統領府は沈黙している。

きわめて低姿勢と言わざるを得ず、独立国家の毅然とした態度とは程遠い。韓国が米国の属国と言われる所以だ。(了)

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