週休3日制

 「24時間戦えますか」-。50代、いや40代以上ならば聞き覚えのある人も多いだろう。企業戦士が昼夜を問わず働くことが美徳とされたバブル期の1989年、CMソングとして流行した「勇気のしるし」▲勇壮なメロディーに乗って、当時のサラリーマンの実情を少しの自虐を交えて表現した歌詞。残業や休日出勤は当たり前という感じだった▲このフレーズは、その年の流行語銅賞にも選ばれた。今、カラオケで歌ったら批判も浴びそうだが、時代を反映していた証拠だろう▲コロナ禍での多様な働き方を探ろうと、政府が「選択的週休3日制」導入の検討を始めた。今月上旬、加藤勝信官房長官は「育児や介護、闘病など生活と仕事の両立を図る観点から多様な働き方の推進は重要」と意義を強調した▲一方で、週休3日は給与が減るケースも想定され、働き手が少ない中小企業で実現できるのかなど課題もある。コロナ禍以前から採用している大企業はあるが、中小に見当たらないのはそのあたりが理由か▲バブル期に社会に出た世代から言わせてもらえば、隔世の感もある週休3日。そんなに休んで大丈夫なのだろうかと心配しつつ、古い考え方を捨て、新しい時代を理解、実践しなければと自らを諭す。自嘲気味に「勇気のしるし」を口ずさみながら。(城)

 


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