【マスターズ】歴史を塗り替えた松山英樹の初優勝 試練乗り越え「とても幸せです」

グリーンジャケットを着て喜びを爆発させた松山。左はD・ジョンソン(ロイター)

【ジョージア州オーガスタ11日(日本時間12日)発】歴史が変わった――。海外メジャー「マスターズ」最終日(オーガスタ・ナショナルGC=パー72)、2位に4打差をつけて首位でスタートした松山英樹(29=LEXUS)は73でラウンド。最後は1打差に詰め寄られたものの、通算10アンダーでメジャー初制覇を果たした。初出場でローアマに輝いた11年以来、10度目の出場での初戴冠。AONや丸山茂樹(51=セガサミーHD)が届かなかったメジャータイトルを日本人男子として初めて獲得した。

最終18番パー4、入場者数は制限されているとはいえ、多くのパトロンがグリーンを取り囲むなか、松山は30センチほどのウイニングパットを沈めた。ガッツポーズはなく、ボールをポケットにしまうと、2日間同組でプレーしたザンダー・シャウフェレ(27=米国)と握手を交わし、大学の後輩でもある早藤将太キャディーと勝利を分かち合った。

そんな松山の目には涙が…。グリーンを下りると、飯田光輝トレーナーらチームの面々、さらには米ツアー初優勝の際、プレーオフを戦ったケビン・ナ(37=米国)も駆け寄った。

一時は2位に6打差と独走態勢に入ったが、メジャー初制覇へ、終盤に苦しい道のりが待っていた。シャウフェレが11~15番の4連続バーディーで猛然と追い上げてきた。対する松山は15番パー5の2打目をグリーン奥の池に落としてボギーとし、残り3ホールで2打差と一気に勝負は分からなくなった。

続く16番パー3、シャウフェレは第1打を池に落として脱落したが、松山も3パットのボギーで11アンダーに後退。勝負の相手は先に9アンダーでホールアウトしたウィル・ザラトリス(24=米国)となった。

一転して苦しい優勝争い。それでも、勝負どころで松山の集中力は研ぎ澄まされた。17番パー4を2オン2パットのパーで切り抜けると、18番パー4では勝負を決定づけるように第1打でフェアウエーをキープ。2打目をバンカーに入れたが、落ち着いてボギーで逃げ切った。

松山は勝負のカギを握った一打を問われると「18番のティーショットがフェアウエーに行ったこと」と答えた。

日本人男子の海外メジャー初制覇、アジア人初の「マスターズ」制覇。歴史を塗り替える快挙に「とても幸せです」。表彰式では昨年優勝のダスティン・ジョンソン(36=米国)からグリーンジャケットを着せられ、両手を天に突き上げた。

ようやくのガッツポーズに松山は「18番でできれば良かったんですけど、できて良かった」。表彰式では会心の笑顔だった。

「ボクが勝ったことでこれから日本人が勝っていくんじゃないかと思います。ボクももっと勝てるように頑張ります」。メジャー初制覇はまだ松山の第一歩。日本人選手の先頭を走り続ける。

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