外国人捕虜らの追悼碑建立 長崎で着工式 日蘭の被爆2世「平和の象徴」期待

原爆投下時刻の午前11時2分に建立予定地で黙とうする関係者ら=長崎市平野町

 戦時中、長崎市幸町にあった福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所で被爆し、命を落とすなどした外国人捕虜らの追悼碑を、オランダ人元捕虜の遺族や長崎の市民有志らが長崎原爆資料館(平野町)前の市有地に建立する。12日、着工式があり、出席者らは「平和の象徴になってほしい」と期待を寄せた。5月4日に完成予定。
 市などによると、第14分所は1943年、爆心地から1.7キロの三菱重工業長崎造船所幸町工場内に設置。長崎原爆投下当時には、オランダや英国などの捕虜約200人が収容されていた。
 追悼碑は御影石製で、高さは最大2メートル、奥行きは最大約2.1メートル。第14分所の屋根の形をデザインに取り入れ、折り鶴が空に羽ばたく様子も表現する。日本語と英語で平和、友情、自由と碑文を刻む。費用はオランダ人捕虜の遺族らが中心になって負担する。
 着工式で工事関係者が建立予定地にくいを打った。市民有志の一人、平野伸人さん(74)は「追悼碑は日蘭の被爆2世でつくる。建立は(被爆を)次世代へと引き継ぐ大きな意味がある」と力を込めた。オランダ人元捕虜の遺族のロブ・シュカウテンさんは「碑が国々の橋渡しとなるよう願いたい」と書面を寄せた。

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