開幕戦で感じた緊張感、独立LとNPBの違い… 元燕&楽天・由規が独占手記で綴る現状

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BC埼玉武蔵・由規【写真:新保友映】

4月3日の開幕戦、栃木を相手に6回1失点の好投

ヤクルト、楽天に所属して通算32勝を挙げた由規投手は今季、独立リーグのルートインBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズに所属。「NPBへの復帰」を目標に新たなスタートを切った。開幕投手を務めた右腕は、初めての独立リーグのマウンドに何を感じ何を得たのか。開幕戦当日の心持ち、投球内容、若い選手と過ごす日々、これからやってみたいこと……31歳がFull-Countに寄せた独自手記を随時連載していく。【構成 / 新保友映】

4月3日にルートインBCリーグが開幕して、僕は開幕戦、栃木ゴールデンブレーブスとの試合の先発投手を任されました。結構、緊張感がありました。それまでは、当日になったら試合をするだけ、投げるだけなので、そこまでじゃないかなと思ったんですけど……。

NPBでは試合前に選手や監督、コーチと円陣を組んで話したりするというのはあったのですが、今回は球団スタッフ、(埼玉武蔵ヒートベアーズの球団運営等を行う)温泉道場の方、チアの方、みんなで集まって今日からやるぞっていうミーティングがあってそれも新鮮で。(角晃多)監督が「ここにいるメンバーは目標は違うけど、ここから次のステップに羽ばたこうとしていることは変わらないから」と話してくれました。

選手はもちろんNPBを目指しているし、チアの子は良いパフォーマンスをしてもっと高いレベルでダンスをしたいという目標があって、そういう意味ではここから羽ばたいていくという目標を持っている仲間。1年で最初の試合だからみんなで力を合わせてやっていこうと。

そこからは、バタバタした緊張感から「開幕戦だ、よしこれから1年が始まるんだぞ」という身の引き締まる思いに変わったというか、そういう意味では雰囲気を作ってもらった感じもありました。ヤクルトで開幕ローテーションに入った時以来の気持ちというか。でも今回は開幕投手だったので、さらにまた違った良い緊張感がありました。

NPB出身選手との対戦を「楽しみに頑張っていきたい」

改めて振り返ると、良かったところは自分主体のピッチングができたところ。オープン戦では球種を試したいというのもあって、新しい球種やいろんなものを使いながら、マウンドで悩みながら投げていたというのもあったんです。でも開幕戦になったら、打たれてもランナーを出しても0点に抑えなきゃ、というシンプルな気持ちに変わったので余計なことを考えず目の前のバッターと勝負するということができたなと。もちろんボール自体も調子は良かったので、最低限先発としての役割を6回1失点という形で果たすことができたのかなと思っています。

その中で課題といえば、これから先発で回るわけなので、ローテーションを守る中でとにかく長いイニングを投げなければいけないということと、無駄な球をなくすということ。余計な四球とか自分のミスでランナーを出したりとか、減らせる球数はあったので、そこは投げていきながら課題を克服していけたらと思います。

それに、まだ公式戦では1チームとしか対戦していないので相手バッターを把握できていない中で投げているし、対戦チームもデータもなく僕に対する印象でバッターボックスに立っている。お互いデータのない中でどれだけ抑えられるのかというところです。

逆に、今後何度も対戦してバッターのことがわかってからのピッチングの組み立て方も結果を残す中で重要になってくる。あとはNPB出身者で知っている人もいて、この間はヤクルトでチームメートだった村中(恭兵)さんも同じ試合で投げたし、西岡(剛)さんとか川崎(宗則)さんとかまた戻ってくるということだし、そういう対戦もあるのでそれを楽しみに頑張っていきたいと思っています。

若手とも積極的にコミュニケーション「NPBを身近に感じてもらえたら」

BCリーグでの開幕は僕にいろんなものを見せてくれました。決してスタッフも多いわけではない。球団スタッフの方は球場周りの設営、チアの子はダンスパフォーマンスの準備、僕たちは野球の準備はもちろん、スポンサーバナーの旗を外野フェンスに設置したりもする。今までは全部そういうのをやってもらった環境でプレーにだけ集中するという形だったのが、自分たちで準備をすることでいいイメージを持ちながら試合に臨めたかなと思っています。こういう感じでお客さんが入ってくれて、試合が始まっていくんだろうなという流れが見えたというか、それが独立、BCリーグの特権というか、独特の感情なんだろうなと思いました。

NPBとの違いで言うと、チームによるとも思いますけど僕たちはホームグラウンドがないので、球場に荷物を置いておくということもないんです。今日はここですと、前の日に連絡がきて練習に行く。ある程度、ひと月の予定表は出るんですが。野球道具は毎回持ち帰って、全部トラックに積んで、マネジャーがそのトラックを運転して、下ろすのも入れるのも自分たちでやる。ホームグラウンドがあるといろんなことがまた違うのかなとも思いますね。

若いチームメートとも雰囲気良くやれていると思っています。気を遣わせるのも僕は絶対嫌だし、そういうのはプレーに出るから。野球以外のことでもコミュニケーションを取るようにしています。質問もしてきてくれて、自分はアドバイスするというより経験したことを話す感じですが、やっぱりNPBに関して聞かれることが多い。先発はどういう調整しているんですかとか、登板前はどんなランニングしているんですかとか、スピードを出すにはどんなことを意識していますかとか。

僕だけじゃなくてNPB出身者はBCリーグにたくさんいるので、そのプレーを見ながらNPBを身近に感じてもらえたらいいなと。もしかしたらNPBに行けるかもしれない、という夢を具体的に持ってもらったりして。簡単に考えるという意味ではなく、自分たちが今何をしなければいけないのかが明確になってくると思うので。

そんな後輩やチームメートとNPBの試合を観に行きたいなとも思っています。自宅でも試合はたくさん見ます。ヤクルトの奥川くんは、背番号11ということもあって親近感もあるというか、重ね合わせて見てしまうところもあるので頑張ってほしいなと思っています。もちろんNPBに戻りたいという気持ちでやっていますけど、今どこにも属していないから、何も考えず球場に観に行けるかなという楽しみもあって。リハビリ中に観に行ったこともあるけれど、なんかここで見てていいのかな……という気持ちもあったし。コロナ禍で行っていいのかという難しいところもあるけれど、いつか叶えてみたいなと思っています。(新保友映 / Tomoe Shinbo)