長崎くんち奉納踊り 2年連続中止 関係者「断腸の思い」

 毎年10月に開催される諏訪神社(長崎市上西山町)の秋の大祭「長崎くんち」について、踊町などの関係者が12日に協議し、今年の奉納踊りの中止を決めた。新型コロナウイルス感染症の収束を見通せず、稽古や開催期間に十分な感染対策を講じられないと判断。2年連続の中止は戦後初めて。昨年から繰り延べていた踊町6カ町の奉納踊りは、さらに来年に持ち越される。
 協議には踊町や、みこしを担ぐ神輿守町(みこしもりちょう)、祭事を取り仕切る年番町などの関係者約30人が出席し、全会一致で決めた。「お旅所」は設置せず、「お下り」「お上り」も中止。例大祭の一部神事は参列者を限って実施する。
 協議後に記者会見した同神社の池田剛康宮司は、稽古始めに当たる「小屋入り」が6月1日に迫る一方、感染力の強い新型コロナ変異株が全国で急拡大している現状を危惧。約半年に及ぶ稽古や桟敷席の運営などで十分な感染対策を取るのが困難との認識を示し、「変異株が今後どう広がるか分からない中、命を大事にするため中止せざるを得ない。今年こそは開催したかったが、断腸の思いだ」と述べた。
 奉納踊りは国指定重要無形民俗文化財。昨年は、昭和天皇の容体悪化を受けて取りやめた1988年以来の中止だった。昨年から2年連続の繰り延べになる踊町の奉納踊りには「御朱印船」(本石灰町)や「鯨の潮吹き」(万屋町)、「川船」(船大工町)、「本踊」(桶屋町)、「本踊」(丸山町)、「阿蘭陀万歳」(栄町)がある。

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