アウトドア観光に熱視線 東彼波佐見、川棚 客層掘り起こし狙う 波佐見 グランピング施設を整備、川棚 ワーケーション利用狙う

波佐見町で2月に開かれたアウトドアイベント=同町井石郷、やきもの公園

 新型コロナウイルス感染拡大で観光業が停滞する中、長崎県の東彼波佐見、川棚両町が、キャンプや車中泊など屋外の滞在型観光に熱視線を注いでいる。波佐見町は2月、宿泊を伴うアウトドアイベントを初めて開催。川棚町はキャンプ場や車中泊施設の活用策を練る。両町とも新年度予算に関連事業費を盛り込み、新たな客層の掘り起こしに躍起だ。
 2月下旬、波佐見町井石郷のやきもの公園で「波佐見キャンピング&アウトドアフェスタ」が開かれた。公園内に一夜限りのキャンプサイトを設け、テントやグランピング、キャンピングカーで宿泊ができるようにした。会員制交流サイト(SNS)を中心に最低限の告知だったが、すぐに定員は埋まった。熊本県から参加したキャンプ好きの男性(55)は「コロナ禍でキャンプ人口が増え、人気のキャンプサイトは混雑する。新しい場所を求める声は多いと思う」と話す。
 夕食時には波佐見焼の食器が提供され、参加者は自分が選んだ器で食事。会場では焼き物の絵付けや鋳込みなど従来の体験型観光ブースも設けた。主催した町観光協会の三浦裕介事務局長は「これまでの観光メニューとの相乗効果を生みつつ、新たな客層を呼び込みたい」と語る。
 町は、温泉施設「湯治楼」近くに電源やWi-Fi環境を備えた車中泊施設「ミナミ田園パーク」を4月に整備。新年度当初予算には、長野郷の鴻ノ巣公園内にグランピング施設を整備する費用も計上した。「近年のキャンプブームを見据え、以前から進めてきたが、コロナ禍でさらに需要が高まった。自然環境や景観など今ある資源を活用し、波佐見ならではの観光をアピールしていきたい」と町商工観光課。
 川棚町では、コロナ禍で一時期客足が遠のいていた大崎キャンプ場(小串郷)の利用客が9月以降増えている。9~12月はいずれも前年度同月比で1.3~2.7倍程度の実績で推移。自分でテントや道具を持ち込めるフリーサイトが特に人気だ。町観光協会の一ノ瀬充博事務局長は「接触や3密リスクが少ないキャンプ人気は着実に高まっている」と期待する。
 町は、旅先で仕事と休暇を両立する「ワーケーション」の需要を取り込もうと本年度、実証実験に取り組む。既に整備している車中泊施設「RVパークsmartくじゃく荘」を活用し、キャンピングカーで宿泊しながら体験型観光を楽しむ周遊プランを作成する予定だ。町産業振興課は「コロナ禍で旅の形が変化している。収束後のニーズに応えられるような観光施策を進めたい」とする。

川棚町の車中泊施設「RVパークsmartくじゃく荘」=同町小串郷(町観光協会提供)

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