長期療養中の子どもを応援するプロジェクトの一環で、バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)の川崎ブレイブサンダースに入団し、練習や試合のサポートに当たっていた東京都在住の高見俊翔さん(12)が今春、チームを卒業した。股関節の病気と闘いながら約1年半の活動を全う。かけがえのない時間を過ごした自信を胸に新生活を歩み始めている。
3月28日、川崎市とどろきアリーナ(同市中原区)での滋賀戦前に開かれたプロジェクトの修了式。高見さんはコート中央に立ち、堂々とあいさつした。
「最後まで諦めないで戦う姿はすごく格好良く、僕もあすから頑張ろうというパワーになりました」
活動を振り返りながら手紙を朗読し終えると、選手やファンから温かな拍手が降り注いだ。
このプロジェクトは、スポーツを通じて、長期の療養生活を余儀なくされている子どもらの自立や復学などを支援する。NPO法人「Being ALIVE Japan」や、日本財団、Bリーグの3者が協力して進めており、高見さんは2019年9月に入団した。
新型コロナウイルスの感染拡大で制限されたものの、計11度の活動に参加。試合で選手らを出迎えたり、練習でボール拾いを手伝ったりした。トレーニングの合間には主将の篠山竜青らの手ほどきを受け、フリースローにも挑戦した。
治療用の補装具が欠かせなかったが、活動のおかげでリハビリにも前向きに取り組めるように。修了式にはチームから贈られた赤のバスケットシューズを履いて臨んだ。
その頑張りに、チームも勇気づけられた。篠山は「最初は恥ずかしがり屋さんだったけど、ちょっとずつ笑顔や会話が増えて、スポーツを通じて表情が変わっていった。自分たちもエネルギーをもらえた」と明かす。左肘関節脱臼でチームを離れた時には手紙を送られ、励まされたこともあった。
サッカー少年だった高見さんは今、バスケに夢中だ。この春に進学した中学校ではバスケ部に入部することも考えているという。「リーグ優勝して選手たちの笑顔が見たい。これからもずっと応援しています」。ブレイブサンダースから巣立った後も、チームの背中を押していく。