LGBTQやBLACK LIVES MATTER、ASIAN HATE等の問題に対して一石を投じる作品が話題! D.LEAGUE ROUND7のレポート公開!

世界初のダンスプロリーグとして多方面から注目されている「第一生命D.LEAGUE20-21」もいよいよ後半戦に突入。有観客での2回目の開催となったROUND 7からは、結果を大きく左右するジャッジのルールに大きな変更がなされた。これまで計4名だったジャッジの人数が増員され、ダンサー、エンターテイナーそれぞれ4名ずつの計8名で構成される。また、ジャッジポイントの詳細が公開されるようになったことも興味深い点だ。

この日のジャッジは、ダンサー枠にレギュラーの坂見誠二、ゲストにGOGO BROTHERSのREI、PURI、KAORIalive、そしてエンターテイナー枠ではレギュラーの黒須洋嗣、ゲストに内野洋平、ゆりやんレトリィバァ、上地雄輔というバラエティ豊かな顔ぶれが並んだ。

RIEHATAがディレクターを務めるavex ROYALBRATS(以下aRB)は、この日初のトップバッターを飾った。今回の主役はMacoto。ミリタリーをベースにアレンジしたファション性の高い衣装で、登場シーンからファッションショーのような演出で作品の世界観をアピール。ヘア&メイクもこれまで以上にかなりキマっていて、全メンバーそれぞれが異なるカラーリングにしたヘアスタイルにも目がいく。

どこか80’sムードを感じるサウンドでショーがスタートすると、高身長で手脚が長くモデルさながらの体型を生かしたMacotoが生き生きと、しなやかに力強く舞う。aRBの代名詞といえばSWAGだが、今作ではMacotoがこれまでHIPHOP以外にも習得してきた幅広いジャンルの中でも、主軸のひとつであるJAZZの要素も存分に引き出した個性的なコレオグラフで魅せてきた。そこにはジェンダーを超えた美しさが映し出されていて、ユニークでありながらもaRBらしいかっこよさは健在。Macotoだけじゃなくメンバー全員の体の軸がしっかりしていて、どんなにアップビートで高速な振りであってもブレないし、とにかくキレが半端ない。改めてaRBのスキルの高さを見せつけられた。今回はフォーメーションもめまぐるしく展開されて、観ていて本当にワクワクした。いくつも見どころはあったのだが、中でもMacotoソロの連続ターンは圧巻で、特に鳥肌が立ったシーンだ。ラストの終わり方もかっこいい。ミリタリーな衣装とリンクしたソルジャーを思わせるポージングで力強くフィニッシュ。“武力で争う戦争”ではなく、“差別や偏見と闘う”ということを表現したのだと筆者は解釈した。こうしたところにも作品に込めた強いメッセージを感じ取ることができた。

パフォーマンスを終えて、ディレクターのRIEHATAはこう語った。「トップバッターだったので衝撃を与えたかった。トップバッターって上でも下でもない点数が出がちなので、心が動いて満点が出るような作品を作りたかった。今回の主役Macotoくんはファッション性が高いので“ファッションショー”という設定に。その中で、いま世界中で問題になっているLGBTQやBLACK LIVES MATTER、ASIAN HATEなどといった色んな問題に対して、壁をブチ破って、十人十色でみんながそれぞれ美しいカラーだよっていうメッセージを、若者がダンスで叫びたいというコンセプトで作った」。

そして主役を務めたMacotoは「このパフォーマンスを見てくれている、これから先の人生、未来に悩める若者たちへ。決してあなたはひとりじゃないっていうことを忘れないでください。僕たちがみなさんの居場所になれるように、生きる希望となれるようにエンターテインメントを頑張ります。だからあなたを精一杯愛してあげてください」と熱いメッセージを贈った。

採点を終え発表されたジャッジの結果は63ポイント。トップバッター故のまずまずの点数といったところだろう。9.5ポイントという満点に近い高得点をつけたジャッジの坂見氏は、「ここにきてやっと僕の大好きなスキルをガンガンに出してくれて、すごくジャッジしやすかった。あんなにターンがきれいに回れるなんて思いもしなかった。まるでジャズバレエの人を見ているようだった。それと今回注目したのは、作品に対するメッセージ性とファッション性。このバランスがすごく良くできているなと思った。ショーとしてクオリティがすごく高いと感じたが、まだ満点は残しておきたいというのがあるので点数を抑えてしまったけど、すごくかっこよかった」とコメント。

続いてゲストエンターテイナージャッジの上地雄輔は、「めちゃくちゃかっこよかった。本当なら声を出したいし立ち上がりたいくらい強いメッセージ性を感じたし、伝えようとする熱量をバシバシに感じて泣きそうになった。Macotoくんが主役っていうのもあるんだけど、他のメンバーがこの7人じゃなきゃいけないっていう、一人ひとりの個性も感じた。一人ひとりが主役で化学反応を起こしてる感じに感動した」と高評価だった。

全9チームの出演を終えてのランキングは8位という悔しい結果に。しかしその後オーディエンスポイント18点が加算されると合計81ポイントを獲得し、総合4位まで浮上した。トータルランキングでは堂々1位に君臨しているaRB。今回の獲得ポイントを踏まえた結果は合計581ポイントとなり、またまた1位の座を守り抜いた。

後半戦の第一発目ということもあってか、どのチームも熱量がかなり高まっている印象で、クオリティの高い作品ばかりでぶつかり合ったROUND 7。次戦ROUND 8は4月20日(水)に開催される。aRBの次なる一手が楽しみでならない。

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