松山英樹マスターズVを支えた目沢秀憲コーチが保持する資格「TPI」とは

目沢コーチの指導を受けマスターズ制覇の偉業を成し遂げた松山(ロイター)

「マスターズ」(ジョージア州オーガスタナショナルGC)で日本人初のメジャー制覇を達成したした松山英樹(29=LEXUS)を支えたのが、今年から契約した目沢秀憲コーチ(31)だ。同コーチが保持することで話題の資格「TPI」とは、どのようなものなのか。

「TPI」とは、ゴルフメーカーのタイトリストのサポートで2003年に設立された「Titleist Performance Institute」の略。日本プロゴルフ協会や日本女子プロゴルフ協会が認定する「プロゴルファー」や「ティーチングプロ」の資格とは異なる。

従来のレッスンでは「トップはこうあるべき」「バックスイング(ダウンスイング)はこう振る」といった〝形〟を重視することが多いのに対して「TPI」ではゴルファーそれぞれの柔軟性や筋力に応じて、最も効率的なスイングがどのようなものかを考える。

「スイングのスタイルは無限にあっても、その人にとって効率的なスイングはひとつ」とのメソッドに基づいた動きを取り入れたことで、手首などに痛みが出ることのある松山にとっても、負担が少ないスイングができるようになったというわけだ。

資格は「レベル1~3」の3段階。「レベル1」では全般的な理論の基礎を習得し、上級のレベル2と3では資格が「ゴルフ」「ジュニア」「メディカル」「フィットネス」の4つに分かれる。

目沢コーチは最高峰の「レベル3」の「ゴルフ」と「ジュニア」の資格を保持。いずれも国内の認定者は10人ほどだけだ。

日本での知名度はまだ高くないが、世界ランキング30位までの25人。直近のメジャー20戦の優勝者のうち、のべ18人がこの「TPI」の資格を持つコーチの指導を受けている。

とはいえプロやエリートの指導に特化しているわけではなく、初心者を含めた全てのゴルファーを対象にしていて「レベル1」の認定者は国内に300人超がいる。

松山は「マスターズ」での公式会見で目沢コーチの指導を受けてからのことについて「自分ひとりで何がダメ、とかフィーリングだけでやってきた部分を、自分が正しいと思いすぎていた。今は客観的な目を持ってもらいながら、自分が正しい方向に向かっていると思っている」と話した。

自分のフィーリングが正しい、と思いすぎるのは多くのゴルファーにあること。これを客観的に見直し、自分のためにカスタマイズされた指導を受けることが大事ということは、松山がグリーンジャケットを着た姿を見れば明らか。これまでのレッスンとは真逆に近いやり方が、今後のスタンダードになるかもしれない。

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