入賞者続出も絶対王者明大にわずか1ポイント及ばず

©早稲田スポーツ新聞会

優勝まではあと一歩だった。昨年の開催中止を経て今年で73回目を迎える東京六大学馬術競技大会は、過去6年間明大が王座を独占している。今回主催校として部員が大会運営にも携わっていた早大。人馬ともに実力者をそろえてきたチームを率いる牛尾哉太主将(人4=兵庫・福崎)も「今年こそは勝てる」と意気込んでいた。二つの競技で優勝を勝ちとるなど多くのコンビが実力を発揮した早大だったが、明大にわずか1ポイントの差をつけられ、悲願の優勝とはならなかった。

五つある個人競技のそれぞれで順位に応じたポイントが与えられ、そのポイントの合計で団体順位が争われる今大会。第1競技の新人馬場馬術競技(新人馬場)では、点数が伸びず厳しい滑り出しとなった。巻き返しを図る2日目。第2競技の複合馬術競技馬場馬術(複合馬場)では、吉田光佑副将(スポ3=東福岡)とジョルジオ・アルマーニが4位につける。第3競技の学生章典馬場に登場したのは、昨年の関東学生競技大会にも出場した添川セレナ主務(政経4=東京・東学大国際中教校)とカプチーノA。1年間コンビを組んだことで「少しは馬(カプチーノA)のことに対する理解が深まった」と振り返った添川は、「不安なまま経路に入った」としたが、62%台の得点率を獲得し堂々の優勝。ロッキーロイヤルとのコンビで出場した吉田副将も60%を上回る得点率で2位につく。1位2位を独占した早大は大きくポイントを伸ばし2日目を終えた。

学生章典馬場で演技をする添川とカプチーノA

迎えた大会最終日には三つの障害競技が行われた。最初に行われた複合馬術競技障害飛越では、2日目の複合馬場と同じ人馬による戦いが繰り広げられた。早大では2人馬が2回の反抗により失権となったが、ここでも髙田雅(人3=大阪女学院)とアイシングラー、吉田副将とジョルジオ・アルマーニが減点0でまとめ、ポイントを獲得。続く新人障害馬術競技では、1番目に出走した牛尾主将とアイシングラーが減点0で完走し、勢いをつけると髙田とプリンチペスコ、鶴見汐花(スポ2=栃木・佐野日大中教校)と稲嵐も減点0で走行を終える。最終的には鶴見が優勝、髙田が2位、牛尾が4位と三つのコンビが上位入賞した。コンビを組んで約1カ月と比較的短期間で試合に臨んだ鶴見は、「自分のノリに合っている馬」とする稲嵐と共に最もレベルが高い中障害馬術競技でもその実力を発揮。一つの障害落下もない走行で暫定1位につけ、さらに68秒台とタイムの面でも頭一つ抜け出した。その後、明大の2人馬が減点0で完走し、勝負の行方は優勝決定戦であるジャンプオフへ。最初に走行した鶴見はここでもスピード感のある走行を見せて減点0でまとめ、後の選手にプレッシャーを与える展開へと持ち込む。このまま減点0の人馬が出なければ優勝が決まる。しかし、明大も負けてはいなかった。最終走行を減点0でまとめた鹿戸雄翔(明大)がタイムで4秒上回り、この競技は優勝を譲り渡す結果となった。

中障害で障害を越える鶴見と稲嵐

今回は歴が浅いコンビも多く出場したが、短い調整期間中でも徐々に馬のことを理解し、好成績へと結びついたコンビもあった。しかしまだ多くの選手がコンビを組む馬とのコミュニケーションについて模索している段階で、本番でしか経験できない馬の緊張の仕方やその調整の仕方などそれぞれが多くの収穫を得ていた。今回明大に惜しくも届かなかった1ポイント。その1ポイントの悔しさがこれからの成長のエネルギーとなる。

(記事 伊藤可菜、写真 樋本岳、伊藤可菜)

結果

▽団体成績

優勝 明治大学

2位 早稲田大学

3位 慶應義塾大学

▽新人馬場馬術競技

7位 鶴見・稲彩 60.400%

10位 髙田・アイシングラー 58. 200%

12位 青田・グランダーマ 57.700%

EL 森・カプチーノA

▽学生章典馬場馬術競技

優勝 添川・カプチーノA 62.436%

2位 吉田・ロッキーロイヤル 61.859%

10位 鶴見・稲彩 54.808%

▽複合馬術競技

3位 吉田・ジョルジオ・アルマーニ

5位 髙田・アイシングラー

2反抗E 鶴見・ビビアンリスト

2反抗E 森・バックハウス

▽新人障害馬術競技

優勝 鶴見・稲嵐 タイム55.71 総減点0

2位 髙田・プリンチペスコ タイム59.21 総減点0

4位 牛尾・アイシングラー タイム64.90 総減点0

2反抗E 森・バックハウス

▽中障害馬術競技

2位 鶴見・稲嵐 タイム68.95 総減点0 JOタイム36.09 総減点0

4位 吉田・ジョルジオ・アルマーニ タイム74.64 総減点1

9位 髙田・プリンチペスコ タイム68.02 総減点8

コメント

牛尾哉太主将(人4=兵庫・福崎)

――団体ではどのような目標でしたか

六大学優勝を一つあげていました。歴史を振り返ると早稲田が10年くらい前に勝っているのですが、それは明治が出ていない時に勝っているので、その前となると、(優勝は)40年以上前です。今年は3年生も4年生も結構戦力がそろっていたので、今年こそは勝てるぞと見込んでいたのですが、その目標が叶わなかったのは少し残念でした。

――今回の結果から、今後チームとして生かしていきたい点はありますか

今回は1ポイントと僅差で負けてしまったのですが、誰が良かったとか誰が良くなかったとかではなくて、全員がもう少し、あと少し頑張りが足りなかったのかなと思います。そのもう少し、あと1ポイントを埋められるようにチーム全体で頑張っていきたいと思います。

――今回のアイシングラーとはコンビを組んでどのくらいですか

最初に出場したのは昨年11月の早慶戦です。アイシングラー自体がとても名馬ではあるのですが、最近ようやく自分がコツというか、どのように乗ればいいのかが分かってきて、今回ようやく減点0で帰って来られたという感じですね。

――走行全体を振り返っていかがですか

今まで減点0で帰って来られたことがなかったので、そこは一つうれしいことではあって、4位という一応ポイントがつく順位ではあったので良かったです。ただ走行全体で雑だったとは思っていて、結構馬がつまずくというか、馬に負担をかける場面がいくつかあったので、もう少し馬を楽にして走行をできるようになりたいと思います。

添川セレナ主務(政経4=東京・東学大国際中教校)

――今回はどのような目標で挑まれましたか

今まで試合に出てきたところと同じミスをしないようにということだけを考えていました。

――演技を振り返ってみていかがですか

準備馬場の時に少しミスが多くて、あまり馬との息が合わなかったので本番もすごく不安なまま経路に入って。経路中も特にすごくうまくいったなという感じはなかったのでちょっと落ち込んではいたのですが、結果が良かったのでこれから動画を見るなどして次につなげていきたいなと思います。

――カプチーノAはどんな馬でしょうか

一言で表すなら、温厚という言葉がすごく合っていて。すごく優しいし、信頼もできる馬で絶対に蹴ったり噛んだりもしない。馬場でもとてもいい子なのでそういった意味では一番信頼している馬だと思います。

――カプチーノAとは昨年の8月の関東学生章典馬場馬術競技の舞台でもコンビを組まれていますが、当時に比べて変化はありますか

8月の時は馬が脚の具合が悪くて、加えて乗ってまだ1カ月経ってないくらいでその関東大会に出たので何も分からない状態で何もできなかったのですが、1年間コンビを組んできて、少しは馬のことに対する理解が深まったかなと思います。

――今大会は主催校の主務として試合以外にも仕事の面などでお忙しいことも多かったと思いますがいかがですか

結構忙しかったですね。3月を予定していたのが、4月に延期になったのでその分準備期間は増えたのですが当日になって何かが間に合わなかったり、競馬場の方と連絡が取りづらくて打ち合わせ通りにいかなかったり。ご迷惑をおかけしてしまう部分が結構多かったので忙しさと初めて試合を運営したので分からないことだらけで結構苦労はしたかなと思います。

吉田光佑副将(スポ3=東福岡)

――学生章典から振り返っていただけますか

今までは道具で迷っていたのですが、シンプルな物にしたところ、今まででは一番よかったと思います。ですがまだまだ改善点はあるので、関東に間に合うように頑張っていきたいと思います。

――続いてもう一つの複合馬場についてはいかがでしたか

複合馬場で本当は勝利したかったのですが、ボチボチの結果で満足はしてないです。

――学生章典ではロッキーロイヤルと、複合馬場ではジョージオアルマーニと組まれましたが、いつからコンビを組まれていますか

12月からコンビを組むのですが、僕がケガをしていて1月末まで休んでいました。実際に乗り始めたのは2月からなので、それほど日は経っていないです。これからどんどん絆を深めていきたいと思います。

――ロッキーロイヤルはどんな特徴の馬ですか

気難しい馬ですが、人が自信を持っていけばとてもいい動きをしてくれるので、乗っていて心強いです。意外と人懐っこくて、誰からも可愛がられている愛嬌のある馬です。

――ジョージオアルマーニについてはいかがですか

一番部活の中で愛嬌があって、人のことが大好きな馬です。部の中でも一番大きな馬なのですが、意外と繊細で大変なことも多いです。それでもどんなに大きい障害も飛び越えてくれるので心強いです。

――最後に今シーズンの目標と意気込みをお願いします

今シーズンは最後に関東学生競技大会があって馬場、障害、総合の3種目出るのですが、3つともいい結果を残し、自分の経験値を増やしたいと思います。

髙田雅(人3=大阪女学院)

――障害競技を振り返ってみていかがでしたか

初めての場所だったので、場所に慣れるのに時間がかかるかなと思っていたのですが、昨日慣らし運動をして今日いざ本番となった時に、案外落ち着きすぎていて。サラブレッドなので切れたところがないといい飛越にならないのですが新人障害はその切れた状態に持っていけていなかったので内容としては、良くはなかったかなと。個人的には2個障害落下した中障害の方が、感覚は良くて。試合の感じとしては、今日の中障害の感じをいつもの試合でも出していかないといけないなと思いました。

――今回意識したことはありますか

アイシングラーとプリンチペスコの2頭に乗ったのですが、アイシングラーはもうベテランの馬で試合になったら馬が全部やってくれるので、それの邪魔をしないように乗っていて。今日の障害とかもしっかりとカバーして帰ってきてくれるので、ただ邪魔をしない、ということを意識していました。プリンチペスコは自分の馬で、長年乗っているのですがなかなか表立った結果が出せていなくて。この前の新人戦でちょっと波に乗ってきたなと自分の中でも感じていたので、今回の新人障害は勝ちにいくつもりでいて、中障害は人馬ともに初めての高さだったので、安全に帰って来られるように(ということを意識しました。)

――今後の目標をお願いします。

アイシングラーは高齢でいつ引退になるか分からないので、いつでも有終の美を飾ってあげられるようなトレーニングと試合の内容にしたいと思います。プリンチペスコはこれから大きな大会に挑戦していくと思うので、そこでもいつも通りの実力を発揮できるように普段からトレーニングしていきたいと思います。

鶴見汐花(スポ2=栃木・佐野日大中教校)

――3日間振り返っていかがでしたか

うまくいったところといかなかったところがありました。最終競技が良かったという印象で、最後が良かったから良いみたいな印象になっていますが、実際はうまくいかなかった馬もいたのでそこは見直していかないといけないなと思いました。

――馬場での演技を振り返っていかがでしたか

一頭目の稲彩は今まで出た試合の中では1番落ち着いて演技ができていたと思いますが、出番が一番目というのもあって点数は伸びなかったです。それでも成長が見られたので良かったなと思います。二頭目のビビアンリストは不安がある馬だったのですが、それでも思っていたよりもいい数値がでたので良かったかなと思います。

――コンビを組んでどのくらいですか

ビビアンリストは半年くらいで、稲彩はもう少し短いくらいです。

――馬の性格を踏まえてどのように調整されましたか

稲彩はホットになりやすい馬で時間をかけないと動いてくれない難しい性格です。ホットになる一歩手前に持っていけるように調整しました。ビビアンリストは以前出ていた試合で「もう少し頭の安定を」とコメントを頂いていたのでそれを意識していました。馬が挙動不審な動きをしたときに自分も一緒に慌ててしまうので、そういったことがないように自分の気持ちを強く保つことを意識しました。

――稲嵐との相性はいかがでしたか

コンビを組んで1カ月であまり時間が経っていないですが、自分のノリに合っている馬なので、この先はいいコンビとしてやっていけたらと思います。

――優勝決定戦が終わったときの気持ちはいかがでしたか

勝ちたかったので純粋に悔しかったです。