【新型コロナ】自宅療養者死亡、医師への報告不徹底 県が検証報告公表

神奈川県庁

 新型コロナウイルスに感染した60代男性が横浜市の自宅で療養中に死亡した問題を巡り、神奈川県は13日、第三者検証委員会(委員長・前田康行弁護士)がまとめた報告書を公表した。検証委は発生原因として、異常時の医師への報告ルールが徹底されず、担当者間の情報共有も不十分だったと指摘した。

 男性は1月6日に死亡が判明。報告書によると、同4日に男性の血中酸素飽和度が79%と通常を大幅に下回る値が計測されたことを保健師が電話で聞き取りながら、医師に報告していなかった。当時、93%以下の場合は医師に報告するとの基準があり、検証委は「ルールが徹底されていなかった」と指摘。また、療養者を管理する県のシステムが複雑で、担当者間での情報共有が不十分だったとした。再発防止策として、システムの改善やスタッフの研修、ヒヤリハットの事例集作成などを求めた。

 一方、男性の感染判明時には横浜市保健所の医師が入院要否を判断する点数(スコア)の記載を誤るミスがあったが、「県が設置した検証委であり、市の対応は検証の範囲外」(県)としてミスの原因究明には踏み込まなかった。

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