「復興の歩み伝えたい」 現地巡る 初の体験プログラム 雲仙岳災害記念館

水無川1号砂防ダム堤体の上を歩きながら説明を受ける鍬先選手(中央)。後方は平成新山=島原市

 犠牲者44人を出した雲仙・普賢岳噴火災害から30年を機に、雲仙岳災害記念館(長崎県島原市)が、「復興」をテーマにした初の体験プログラムを作った。かさ上げにより災害に強い住宅地に生まれ変わった安中三角地帯や砂防ダムなど、水無川周辺でのフィールドワークを通し、火山災害からの復興の軌跡を学ぶことができる。
 同館は、火山災害の脅威を伝える展示や活動に主眼を置いてきたが、「災害を乗り越えた人々の強さや思い、島原の復興の歩みを伝えたい」と制作。3月に完成した。プログラムは、同館を約1時間見学した後、スタッフらのガイドを受けながら約1時間30分かけて現地を巡る内容。
 12日に初めて実施され、サッカーJ2、V・ファーレン長崎の新人選手、鍬先祐弥選手(22)がJリーグ新人研修を兼ねた地域ボランティア活動として参加。まず、被災住民の生活再建の基盤となった安中三角地帯を散策した。
 水無川と導流堤に挟まれた土地(約93ヘクタール)は平均約6メートルかさ上げされており、鍬先選手は高い壁に沿って歩き、復興の状況を実感した。溶岩ドーム(平成新山)頂上部から約4.5キロの地点にある水無川1号砂防ダムでは、高さ約20メートルの堤体の上を歩きながら溶岩ドームや砂防施設、復興した島原市街地を見学した。
 鍬先選手は「復興に当たった多くの人の思いや行動の実績が詰まった場所に足を運べた。それぞれの場所に込められた強い思いを感じることができ、いい経験になった」と話した。
 体験プログラムは無料だが、常設展示の入場料が必要。事前予約制。問い合わせは同記念館(電0957.65.5555)。

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