原因不明のアサリ不漁 潮干狩り2年連続中止 横須賀・走水海岸

2年前までは潮干狩りを楽しむ人たちでにぎわっていた走水海岸。今年はこんな光景が見られない

◆漁獲量「ゼロに近い」

 良質なアサリが採れると人気の神奈川県横須賀市・走水海岸の潮干狩り場が、今年も開設中止となった。原因不明の不漁が続いているためで、中止は新型コロナの影響で取りやめた昨年に次いで2年連続。運営する市東部漁業協同組合走水大津支所(同市走水)は危機感を強め、県に原因究明の調査を依頼している。

 走水海岸は三浦半島唯一の潮干狩り場。走水のアサリは身がふっくらとして肉厚なことで知られ、「かながわブランド」にも認定されている。同支所のあさり部会が運営し、ゴールデンウイークを中心に4、5月は家族連れらが大勢訪れる。

 同支所によると、アサリが採れなくなり始めたのは2年前。大半を占めていた天然ものに加え、他地域から補充したアサリも死滅するケースが増えた。潮干狩りは有料のため、来場者からのクレーム対応に追われたという。

 昨年は新型コロナの影響で中止した。今年は2年ぶりの開設に向けて準備を進めてきたが、事前の試し掘りの漁獲量は「ゼロに近い」(同支所)状態。昨年育っていた稚貝がほとんど消失した。担当者は「毎年楽しみにしているお客さんのためにも開設したかったが、資源育成の面から中止を決めた」と説明する。

 アサリの不漁は東京湾全域に広がり、原因については食害や海況、餌の影響などが考えられるという。ただ、今後の調査で原因が分かっても、海水温の上昇など対応できないものもあるといい、関係者は「このまま不漁が続けば、潮干狩り場の開設は難しい」と頭を抱えている。

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