野球を続けるなら県外に出るしか… 全国に36校、女子中学生のもどかしい現実

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履正社女子野球部が実施した練習体験会の様子【写真:喜岡桜】

履正社女子野球部が練習体験会を開催、東北~九州の中学生が参加

履正社高の女子野球部は4月上旬、複数日に分けて練習体験会を行った。東北から九州まで様々な地方から女子中学生が参加し、それぞれの個性や強みを最大限にアピール。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、遠方に移動しづらい中でも、希望する進路のために立ち止まってはいられない実情が見えてきた。

4日の体験会には計22人が参加した。感染予防対策を徹底した上で、参加者全員の意向で硬式球を使用。高校生と一緒にノックを受け、バッティング練習を行い、最後は投手希望の中学生が高校生と3打席限りの真剣勝負を行った。練習会に参加した中学生は終始緊張した表情だったが、履正社の橘田恵監督や部員たちは熱心な中学生との出会いに笑顔が絶えなかった。

現在、24都道府県の36校が全国高校女子硬式野球連盟に加盟している。日本高野連の発表によると、昨年7月末時点で加盟する硬式野球部は3932校。比較すると、女子野球部の数は110分の1しかない。大半が創部10年にも満たない若いチームだ。

飛行機で移動してきたという岩手県在住の参加者も、進学先に悩むひとり。同県内で女子硬式野球を続けるためには、昨年新設された花巻東女子野球部への進学しか選択肢がない。実績のある強豪野球部へ入部を希望する場合は、県外へ出るしかないという。

佐賀県在住の参加者は「県内に女子野球部がある高校がなく、県外へ自分から足を運ばないと入学先が見つからない」と話す。昨年にも関西圏内の別の高校の練習会へ参加したといい「進学先を探すための移動費など、女子野球を続けるにはお金がかかる」と苦難を打ち明けた。感染予防策として、新幹線での移動中にはマスクを2枚重ねにし、腰にアルコール消毒液をぶら下げていた。

県内に女子野球部がない場合、県外へ野球留学をせざるを得ないのが現状だ。各校の情報発信力やメディアへの露出度の差から、リモートで学校や女子野球部の情報を収集するにも限界がある。女子野球選手や指導者らは、それぞれの夢を実現のため、コロナ禍でもできる限り情報収集に尽力し、歩を止めてはいられない。(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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