東京の「経済的豊かさ」は全国最下位という衝撃

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地方から東京に人が流出している――このことが問題になって20年になります。最近は新型コロナウィルス感染症の流行により、東京から地方へ転出する人が増えているものの、長いレンジでみれば東京一極集中の問題はいまだ解決していません。

東京に人が集まる理由は、就職や進学、生活のためなどさまざまですが、中でも仕事の影響は大きく、国土交通省の調査によれば、地方から東京に移住した事情の1位は「希望する職種の仕事が見つからないこと」、2位が「賃金等の待遇の良い仕事が見つからないこと」となっています。

最低賃金も、東京は全国平均902円のところ1,013円と47都道府県で一番高く、青森や沖縄など最低賃金が最も低い県(792円)と比べて200円以上も開きがあります。仕事の数が多く、賃金も高い東京に、豊かさを求めて人が集まってくるのです。

ところが今年、国交省が衝撃的な分析結果を発表しました。中間層に限れば、東京の経済的豊さはなんと全国最下位だというのです。


東京が47位という衝撃の結果

調査の詳細は、国交省ホームページの公表資料をご覧いただくとして、ここでは大まかなポイントを紹介します。

まず全世帯を対象に、給料の総支給額から税金や社会保険料などを差し引いた「可処分所得」でランキングを作ると、東京は1位ではなく3位になります(1位は富山、2位は福井)。

高額所得者が多い地域では平均値が引き上げられるため、可処分所得の上位40~60%の中央世帯だけで可処分所得ランキングを作り直すと、東京は12位まで下がります。中央世帯に限れば、東京より、富山、三重、山形、茨城、福井、愛知、神奈川、埼玉、京都、新潟、岐阜のほうが、可処分所得が高いのです。中間層にとっては、東京は必ずしも豊かな地域ではないのです。

しかも、地域によって、食糧費や家賃などの生活費は随分異なります。実際、東京は、基礎支出(食糧費、家賃、光熱水道費)が全国で最も高い地域です。そのため、可処分所得から基礎支出を差し引いてランキングを作ると、東京は42位まで下がります。さらに、通勤時間を費用換算して差し引くと、東京は47位、つまり最下位です。

豊かさを求めているのに、生活が苦しい

豊かさを求めて東京に来るのに、東京の生活は全国で一番貧しい。上記の分析結果は、このような皮肉な現実を表しています。

もちろん、アメリカンドリームを求めて発展途上国の人たちがアメリカに渡るのにも似た面はあります。アメリカはチャンスが多い代わりに、成功した人とそうでなかった人の貧富の差が大きいことはよく知られています。

しかし強調すべきは、国交省の経済的豊かさの分析は、中間層を対象としたものだということです。普通の世帯にとって、全国で一番生活が貧しいのが東京なのです。この事実は、わたしたちに二つの点で再考を迫ります。

一つには、豊かさは収入だけでなく支出も含めて捉える必要があるということです。もうお一つは、「真の豊かさとは一体何か?」ということです。

求められるのは、楽しさや刺激ある地方暮らし

経済的豊かさだけを求めるのであれば、東京よりもむしろ他の道府県のほうがよいことを、上記の分析結果は示しています。一方で、東京での生活は実態としては楽ではないにもかかわらず、東京への一極集中が止まらないのには、地方にも魅力に欠ける部分があるわけです。

その一端が、仕事の種類や賃金の低さにあるとは前述したとおりですが、ほかにも「レジャー・余暇」が乏しいと感じられていることが、今回の調査により判明しています。

地方では、自然が豊かで、住まいの周辺環境も良く、家族と過ごす時間を増やすことができます。その一方で、日々の刺激は東京に比べて乏しいのも否めません。買い物やエンターテインメント、活力あるコミュニティへの参加なども、個人にとって豊かさを構成する大切な要素といえるでしょう。

では、どうしたら地方で充実した生活ができるのでしょうか。実は今、地方で儲けるための営利ビジネスとは違う、生活に根ざしたビジネスが生まれつつあります。それは地方で暮らす人々にとって、仕事の場であるだけでなく、生活にハリをもたらすものでもあります。

次回は、地域で生まれつつある、新たな暮らしのビジネス「協同労働」についてご紹介します。