新卒採用支援サービス市場に関する調査を実施(2021年)

2019年度の新卒採用支援サービス市場規模は前年度比2.5%増の1,286億9,000万円~新卒採用支援サービス市場は拡大傾向から、コロナ禍における新卒採用計画の見直し・採用人数の縮小によってマイナス成長に転じる~

©矢野経済研究所

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の新卒採用支援サービス市場を調査し、各種サービス別の市場動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2019年度の新卒採用支援サービスの市場規模は、前年度比2.5%増の1,286億9,000万円であった。

将来的な労働力・人材不足を背景に企業の旺盛な新卒採用意欲に支えられ、新卒採用支援サービス市場は拡大傾向で推移してきたが、新型コロナウイルス感染症拡大によって大きな影響を受けている。

例年、3月からは就職活動の解禁に合わせて学生・企業ともに活動量が多くなるが、2020年は、4~5月の緊急事態宣言によって様々な活動が自粛され、2021年卒生向けの採用活動/就職活動もほぼ一時休止状態となった。活動再開以降も、集合型のイベントがオンラインイベントに切り替わり、これまで対面で行われてきた面接・面談などの選考活動もWeb上で行われるようになった。加えて、コロナ禍により事業に影響を受けた求人企業においては採用縮小が起きており、新卒採用支援サービス全般の利用機会の減少、および学生優位の売り手市場が緩和する傾向が見受けられる。また、企業の新卒採用計画の見直し・採用人数の縮小に伴って厳選採用(採用基準の厳格化)の傾向が見受けられ、これまで新卒採用手法の主流であった就職情報サイトやイベントの活用のみならず、新卒紹介サービスやダイレクトリクルーティングサービスなどのニーズが高まりを見せている。

当該市場における各サービスの提供事業者は、企業の新卒採用計画の見直し・採用人数の縮小からなるサービスニーズの低下などのマイナス影響は免れないが、今後、コロナ禍による環境変化で新たに生まれたニーズや、以前から変わらない採用課題に対するサービス需要の取り込みが期待される。

2.注目トピック~コロナ禍によるプラス影響とマイナス影響

コロナ禍における新卒採用支援サービス市場は、企業の新卒採用計画の見直し・採用人数の縮小などによるマイナス影響を受けており、当該市場のボリュームゾーンであるイベント・セミナー市場や就職情報サイト市場の縮小が目立つ。

イベント・セミナー市場では、例年3~5月に開催される集合型の大規模イベントのほとんどが2020年は中止・延期となり、オンラインでのイベント開催が主流となったものの、オンライン開催による顧客単価の下落、企業の新卒採用計画の見直し・採用人数の縮小、他のサービスへの需要シフトなどのマイナス影響を受けた。

就職情報サイト市場においても、企業の新卒採用計画の見直し・採用人数の縮小による需要減少をはじめ、ダイレクトリクルーティングサービスや新卒紹介サービスといった異なる採用手法の需要拡大などによって、マイナス影響を受けた。

一方、コロナ禍における成長市場は、ダイレクトリクルーティングサービス市場であり、就職活動・採用活動のオンラインシフトや採用工程・手法の変化などを背景に、登録学生数の増加および利用企業の拡大となり需要拡大を見せている。

3.将来展望

2020年度の新卒採用支援サービスの市場規模は前年度比8.4%減の1,179億円の見込み、2021年度は同4.7%増の1,234億5,000万円を予測する。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症による集合型イベントの開催自粛や企業の新卒採用計画の見直し・採用人数の縮小の影響を受け、新卒採用支援サービス市場は減少に転じるものと見込む。なお、当該7分野の市場のうちプラス成長が見込まれる市場は、新卒紹介サービス市場、新卒採用アセスメントツール市場、ダイレクトリクルーティングサービス市場の3分野である。

2021年度は企業の採用意欲の回復やサービス提供事業者、求人企業、学生それぞれの “オンライン慣れ” による採用活動・就職活動が活発化することを見込み、市場は回復基調となるものと予測する。