理容室の待合室を開放、憩いの場に 店主「気軽に訪れ、情報交換して」

 【宜野湾】宜野湾市新城で伊藤吉三さん(74)=同市=が営む理髪店「ヘアーサロン伊藤」が、地域の憩いの場になっている。利用客以外にも待合室を開放し、近所の人々が「ゆんたく」を楽しんでいる。
 伊藤さんは来店者にコーヒーやお茶をサービス。常連客から寄贈された骨董(こっとう)品や本、年代物の写真などが並ぶ店内は、来店客の年代を問わず退屈させない空間だ。手動のバリカンやB円札など、貴重な品物も飾られている。
 伊藤さんは「最近は低料金の店も増えているが、うちはいつでもにぎやかな店でありたい。お茶を飲むだけでもいい。地域の皆さんが気軽に訪れ、情報交換してほしい」と話した。
 伊藤さんは19歳で同市普天間で開業し、宜野湾市内で50年以上、理容店を営んできた。現在地に移転して14年目だ。1986年には県理容環境衛生同業組合主催第22回理容技術競技大会(第1部ベーシック・アイアニング)で優勝。子どもや孫も理容の道に進んでいるという。
 何十年も通っているという平敷兼護さん(84)=同市新城=は「伊藤さんは人のつながりを大切にする。時間を気にせず、ゆんたくできるのが楽しい」と話した。
 (宮城隆尋)

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