韓国懐かしのアルミ製弁当箱。傾けばキムチの汁が教科書に!?

韓国の学校で給食制度がまだしっかり整っていなかった時代、子供たちは毎日お弁当を持参して登校していました。高校生になると放課後、学校に残ってヤジャ(夜間自習)をするので、お弁当は昼食用と夕食用に2つ必要。親しい知人は5人姉妹で、お母さんは、お弁当を毎朝7つも作っていた時期があったそうです!

おかずはスパム(ハム、ソーセージ)、卵、キムチの3種が定番。スパムやキムチを炒めるときは、肉やイカ、野菜などが加わり、彩りにこだわる余裕があれば、豆類、ししとう、エホバク(ズッキーニのような野菜)などと小魚を炒めてグリーン色を、海苔を載せてブラックをプラスします。

今も昔も人気テッパンの特大ソーセージ。パッケージには、定番3種のおかずが盛られた理想形の弁当が

80年代に保温密閉容器が定着する以前、広く使用されていたのは金色のアルミ製弁当箱で、今でも“懐かしの弁当箱”として売られています。シーリングパッキンも密閉蓋もありませんから、カバンの中で弁当箱が傾いて……、キムチの赤い汁が付いてしまった教科書は韓国人にとって懐かしのアイテムです。

日本人にも懐かしく感じるアルミ製の弁当箱。金色なのが韓国スタイル

2020年に日本で公開された韓国映画『はちどり』は、ちょうど90年代半ばが背景。お母さんが長男・長女・次女の大きなお弁当袋を3つ、朝の食卓にドカッと出すシーンがあります。次女が修学旅行に出発する朝で、彼女のお弁当の中身はキンパ。(おそらく兄姉のお弁当もキンパだったのでしょう。)詰めて残ったキンパが朝ご飯としてテーブルに追加で出されます。機会があれば本編でご確認を!


Text・写真提供:山岸由佳(字幕翻訳家)

Edited:野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)

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