通算1100勝の巨人・原監督が侍・稲葉監督へ〝原采配〟伝授

通算1100勝のアナウンスに驚きつつも両手をあげた原監督

巨人の原辰徳監督(62)が15日、中日戦(東京ドーム)で視察に訪れた侍ジャパン・稲葉篤紀監督(48)へ「原采配」を見せつけた。

名将らしい、意表の突き方だった。3回二死一、三塁、打者・大城の場面で相手先発・福谷が3球目130キロのスライダーを投じた。このタイミングで一走・亀井がスタートを切る。すかさず相手捕手・木下拓が力強い送球をすると、亀井はスピードを緩めた。タイミング的には挟殺プレーにより一、二塁間上でタッチアウトになるかと思われた。

しかし、木下拓が二塁へ送球した瞬間、今度は三走・梶谷がスタート。二塁のベースカバーに入って捕球していた遊撃・京田がこれに気を取られ、わずかに迷いを見せた隙を見て亀井はタッチを交わし二塁に到達。俊足・梶谷も勢いよく本塁生還を果たし、見事に重盗を成功させた。

この5得点目を奪ったシーンに、稲葉監督も脱帽。巨人が5-1で快勝した試合後、侍指揮官は「タイミングと、1点をどうしても欲しいというところでの采配、いいものを見れたなと思います。1点の取り方というのは原監督の采配なんだろうな、というところは勉強になりました」と思わずうなった。

次の東京五輪は一戦必勝。負けが許されない大舞台だけに1点の重みは計り知れない。「1点1点の積み重ねが国際大会も大事ですから、仕掛けられるタイミングというのは勉強になりました」。2009年の第2回WBCで侍ジャパンを率いてチームを世界一連覇へと導いた先輩・原監督から垂教を得た。

一方の原監督は重盗のシーンについて問われると不敵な笑みを浮かべながら「(亀井と梶谷の)2人で、試合前にミーティングでもしていたんじゃないですか。彼ら2人のおかげですよ。僕は何もしらない」と知らぬ存ぜぬの一点張り。

この日の白星で通算1100勝を達成したことにも「(試合後に)球団の方も出てきてくれて、何かあったの?とは思ったんですけど、全く気づいておりません。まだまだ、生まれたてのほやほやという気持ちでね、日々、臨んでおります」と最後まで謙虚な姿勢を貫いていた。

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