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山川、栗山、外崎など主力を故障で欠きながら9勝6敗1分けと貯金3を稼ぐ西武が、ソツのない野球にV奪回の活路を見出している。
戦前の予想ではソフトバンク、楽天の陰に隠れ下馬評の低かった西武が、フタを開けてみれば相次ぐ故障禍をものともせず、2強に混じり首位戦線をにぎわせている。大きな要因は欠場中の主力の穴を埋める若手、中堅による突き上げ効果によるものだが、それだけではない。状況、戦況、相手心理を読みながらのベンチワークも見逃せないその遠因となっている。そのひとつの数字が両リーグ最多「21」というチーム盗塁数だろう。
9日からのロッテ3連戦(ZOZOマリン)では計10盗塁を決め、ここまで6盗塁でパ・リーグ盗塁数トップを分け合う源田、若林を筆頭に金子、山野辺が3盗塁など、足自慢の韋駄天が塁上から相手バッテリーにプレッシャーをかけている。
走れるのはエキスパートばかりではない。14日の日本ハム戦(メットライフ)では1―0の3回に右前打で出た3番・森友哉捕手(25)が完全無警戒の相手バッテリーのスキを突き、今季初盗塁に成功。貴重な追加点につなげた。
「森友哉は走らないという確率の方が多いわけだから、そのスキを突いていけるかどうか。それは走塁コーチの小関がしっかり指示しながらやってくれている。失敗を恐れずにやりなさいと言ってある」(辻監督)というチーム方針が徹底されているからでもある。
リーグ3連覇を目指しながら優勝したソフトバンクに15・5ゲーム差の3位に沈んだ昨季、指揮官は「V奪回のための変化、成長」を選手だけでなく自身も含めた全首脳陣にも求めた。
相手と同じ目線、同じ意識では絶対にその上にはいけない。試合中に起きるふとした気の緩みも見逃さないベースコーチの洞察力がもぎ取ったあの1点は、西武野球の進化がうかがえる。