今宮の超絶美技に凝縮された鷹の強さ 勝負を分けたオリックスとの“守備力”の差

ソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

ソフトバンクは今宮の超ファインプレーでピンチの更なる拡大を防いだ

■ソフトバンク 4ー3 オリックス(15日・PayPayドーム)

ソフトバンクは15日、本拠地・PayPayドームで行われたオリックス戦に4-3で逆転勝ちした。2勝1敗で3カード連続の勝ち越しに成功。リーグ最速で10勝に到達し、首位で並んでいた楽天がロッテに敗れたために単独首位に浮上した。

息詰まる接戦だった。勝ったソフトバンク、負けたオリックスともに得点を奪ったのは5回の攻防のみ。先にオリックスが3点を先制し、その裏にソフトバンクが一気に4点を奪って試合をひっくり返した。勝負を分けた5回の攻防。両チームの差として浮かび上がったのは“守り”の差だった。

まずオリックスは先頭の紅林が右前安打、続く安達が遊撃への内野安打で出塁。大城が犠打で送ると、2死二、三塁から中川圭が二塁への適時内野安打、T-岡田が右前適時打を相次いで放って3点を先制した。だが、続く杉本の中前へと抜けようかという痛烈なゴロを名手・今宮が好捕。両膝をついたままという無理な体勢から二塁に送球し、間一髪で封殺。更なるピンチの拡大を防いだ。

この打球が仮に安打だったとしたら、さらに2死一、二塁のピンチが続き、さらに失点が重なっていた可能性もある。それを防いだ今宮の好守に、試合後の工藤公康監督も「またチャンスが広がっていたら、どうなっていたか分からない」とその価値を認めていた。

工藤監督も絶賛する守備陣の働き「ああいうプレーの1つ1つが大きいと思います

その裏、ソフトバンクは1死から甲斐が右前安打で出塁。続く今宮が四球を選ぶと、周東の左前安打で1点を返した。なおも2死一、二塁でグラシアルの打球は痛烈な二遊間のゴロに。オリックス・二塁手の大城はこの打球をスライディングしながら好捕。だが、一塁への送球が高くなり、悪送球に。これで2点目を返され、さらにピンチは2死二、三塁に。続く栗原が左中間を破る2点適時二塁打を放って逆転に成功した。

この場面で大城が安全にワンバウンド送球を選択していたら……。どちらも懸命にプレーした結果だが、このワンプレーで現れる精度の差がこの試合の勝負を分けるポイントになった。この日、ソフトバンクは初回にも周東がビッグプレーを披露。連日、守備の光る試合が続いており、勝った工藤監督も「初回の周東くんだったり、ああいうプレーの1つ1つが大きいと思います。投手を助けてね。内野手が凄いと思いますよ。毎日1個、2個ありますからね」と絶賛していた。

毎日のように好守を見せている今宮だけでなく、急成長を見せている周東、さらには乱れた送球を何食わぬ顔でキャッチする一塁の中村晃の働きも見逃せない。豊富な選手層、柳田らが顔を揃える打線、鉄壁の投手陣……。ソフトバンクの強さの要因は数多あるが、この守備力の高さも忘れてはいけない要素だ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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