48歳コロネルは2021年も“二足のわらじ”が決定。新旧アウディをドライブ/TCR EU

 2021年のWTCR世界ツーリングカー・カップに向け、所属3年目を迎えるコムトゥユー・レーシングから参戦し、今季デリバリーの新型アウディRS3 LMSをドライブすることが決まっているトム・コロネルが、こちらも継続のプログラムとしてTCR規定のリージョン選手権最高峰、TCRヨーロッパ・シリーズにも参戦すると発表した。

 昨季までともに戦ったブーツェン・ジニヨン・レーシングから離れ、WTCRと同じコムトゥユー・レーシングからのエントリーとなり、旧型となる“初代”アウディRS3 LMSで挑む。

 世界最高峰のカップ・シリーズと欧州選手権の“二足のわらじ”も3年目を迎えるコロネルだが、過去2年間をともにしたFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRに別れを告げ、TCRヨーロッパでもアウディの息が掛かったチームから出場する形となった。

「個人的にもコムトゥユー・レーシングの面々とは非常に良好な関係を築いているし、アウディのカスタマーレーシング部門責任者であるクリス・ラインケは、TCRヨーロッパでも私と一緒に戦いたいとハッキリとした意思表示をしてくれた」と、今回の経緯を説明した現在48歳のコロネル。

「ブランニューモデルの方は、WTCRの実戦を通じて開発と本格デリバリー前の確認作業が続いていく計画だが、過去数年間で非常に明確になっているように、以前のバージョンも成功を収めるのに最適な戦闘力を有している」と続けたコロネル。

「昨年、僕がWTCRでドライブしたアウディは、その個体を熱烈に欲しがってくれたポーランドのカスタマーに売却されたから、もう今は手元にないんだ。しかしナサニエル(・ベルトン)のクルマも完璧だよ。だって結局のところ、彼はこの個体で昨年のレースに勝ち、表彰台を獲得しているんだからね!」

過去2年はBoutsen Ginion Racing(ブーツェン・ジニヨン・レーシング)のFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRでヨーロッパ・シリーズに参戦してきた
WTCRでは、2021年後半のカスタマーデリバリーが予定される、新型アウディRS3 LMSをドライブする

■WTCRを戦うコムトゥユー最後のひとりが決定

 これまではWTCRのカレンダー優先でいくつかのTCRヨーロッパ戦は欠場、というシチュエーションもあったコロネルだが、現時点で2021年は双方ともにフル参戦が見込めるため、どちらのシリーズも「チャンピオンシップ・タイトルを目標にする必要があることを意味するね」と、意気込みを語った。

「そう、もちろんWTCRと同じパートナーたちと話し合い、その交渉の席で彼らはこう述べたんだ。『ヨーロッパのシリーズはどう? そちらも良いプログラムになると思うんだけど』ってね! すべての関係者が熱意を示し、それこそが僕らをこのキャンペーンに駆り立てる源なんだ!」とコロネル。

「もちろん、この状況にはとても満足しているよ。これまでとは異なり、フルシーズンでレースを追うことができるから、タイトル争いを繰り広げるのはマストだと言えるね」

 一方、4台体制を予定するコムトゥユー・レーシングのWTCRラインアップで、最後のひと枠となっていたシートには、2020年もベルギーのASN(自動車連盟)であるRACBのサポートを受けてシリーズを戦ったジル・マグナスの起用がアナウンスされ、21歳の若手成長株はすでに発表済みのフレデリック・バービッシュ、ベルトン、そしてコロネルと並んで、新型のアウディRS3 LMSを任されることとなった。

「昨年WTCRのルーキードライバー賞を受賞した後、WTCRでふたたびドライブする機会があれば『総合タイトル獲得を狙う』と宣言したけど、僕はまだ若く、目の前のことに集中し、長いキャリアを積んでいけることを願っているよ(笑)」と、チームメイトのベテラン勢を念頭に殊勝な言葉を並べたマグナス。

「ここは僕が長い間、夢見ていた場所だし、高い競争力ゆえに、ここにいるだけでポジティブな変化があることを実感できる。チームとの仕事の仕方でさえ僕は多くのことを改善できたし、最前線で戦えるペースがあることを示せたのはさらに重要だった。すべての人々に感謝しながら、さらに上を目指したいね」

TCRヨーロッパで使用する旧型車は、元はナサニエル・ベルトン(左)が使用していた個体となる
2020年はベルギーのASN(自動車連盟)であるRACBのサポートを受けてWTCRを戦ったジル・マグナスも、新型への移行が確定した

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