巨人・村田修コーチ激白 “日本最強遊撃手”坂本にコンバートはあるのか?

”生涯遊撃手”か? それとも…

日本球界最強のショートストッパーの誕生だ。巨人・坂本勇人内野手(32)が16日のDeNA戦(横浜)で遊撃手としての出場記録を通算1778試合に伸ばし、歴代最多を更新した。守備で激務をこなし、打っては主軸。主将の重責も担う背番号6を巡っては遊撃からの将来的な「コンバート」もささやかれ続けているが、現役時代からの“盟友”村田修一野手総合コーチ(40)が打ち明けていた熱い胸の内とは――。

ついに坂本が前人未到の領域に踏み込んだ。2007年9月2日の横浜戦で初めて遊撃の守備に就き「2番・遊撃」で先発出場したこの日で実に1778試合目。同時刻に行われていたオリックス戦(京セラ)で出場機会がなかったロッテ・鳥谷の記録を抜き、坂本が単独トップに躍りでた。

打っても絶好調。5回の2号ソロを含め、セ・リーグ歴代4位タイとなる166度目の猛打賞だ。主将の奮起に触発されるように打線が今季最多の19安打の猛攻を浴びせ、エース菅野は今季初勝利を完封。チームも7―0の快勝劇で5連勝となった。

坂本は今季でプロ15年目。打の主力としてだけでなく、激務の遊撃をこなしながら不動のレギュラーに君臨し続ける価値は計り知れない。ただ、三十路を過ぎた昨今の坂本の周囲は年々騒がしくなってきている。肉体的な負担を減らす目的で遊撃以外のポジションへのコンバートする案だ。もっとも、後釜が育たないことには実現しようもないが、坂本の選手生命を伸ばす意味ではコンバートも一つの手法でもある。こうした声を“兄貴分”はどう聞いているのか。村田修コーチは「僕個人の考えですけど」とした上でこう打ち明けた。

「それは勇人が決めればいいんじゃないですか? これまでいっぱい貢献していきているので、彼に選択してほしいなと。こっち(首脳陣)が無理くり(坂本の意思を)ひっくり返す必要もないと思いますし、相談する余地はあると思う。僕は勇人に決めてほしいと思います」

村田修コーチはチーム事情などで一塁を守ったこともあるが、横浜、巨人で三塁の名手として名を馳せ、終焉の地となったBC栃木でも「4番・三塁」でユニホームを脱いだ。自分が守るポジションへのこだわりや自負を理解できるからこその言葉だろう。

さらに、村田修コーチは「次の世代が出てきて『抜かれた!』と考えた時に、勇人がどう考えるかですよね。ポジションを変えて引くのか『ショート坂本』のまま引くのか。できることなら、引退試合まで『ショート坂本』でも問題ないと思いますね。最後の最後までやって、抜かれたら自分から『引きます』というのも全然いいと思います」と熱いメッセージを送った。

坂本の偉業に原監督は「とてもすごいことですよ。ショートというポジションは非常に価値がありますよ」とまさに最敬礼で、当の坂本は「トレーナーさんや裏方さんのおかげで今の自分があります。この成績をもっと伸ばせるように精いっぱい頑張ります」とコンバートのことなど頭の片隅にもなさそうだったが…。

生涯遊撃か、それとも別の道を選ぶのか。どちらにしても、決断するのは本人以外にはあり得ない。“男・村田”の思いは坂本の胸にどう響くのか――。

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